JAMの主張

2026/06/25

働く者を守る最低限のルールを後退させないために

現場の声を上げ続けよう

【機関紙JAM・2026 年6月25日発行 第329号】

 働き方改革関連法の施行から5年が経過した。現在、総点検が進められ、働き方の実態やニーズを踏まえた労働基準法の見直しについて、労働政策審議会や日本成長戦略会議の労働市場改革分科会などで議論が行われている。

その中で検討されている労働基準法改正について、働き方の多様化や人材確保への対応という趣旨は理解するものの、職場で働く仲間を代表する立場からは、強い懸念を抱かざるを得ない。

近年、「働き方の多様化」や「柔軟な働き方」という言葉が一般的になり、各企業では実際にさまざまな制度が導入されてきた。

しかし、実際の職場では、慢性的な人手不足の対応や生産維持のしわ寄せが、一人ひとりの労働者に重くのしかかっている実態も散見される。残業や休日出勤によって、何とか仕事を回している職場も少なくない。そうした実態を十分に踏まえないまま、労働時間規制の緩和や企業側の裁量拡大につながる改正が進められるのであれば、職場の負担はさらに強まることになる。

制度上は「本人の同意」や「柔軟な選択」とされていても、実際には職場の雰囲気や仕事の状況から断れないケースも多く、法改正の結果として、長時間労働が常態化することが懸念される。

法改正の議論では、生産性向上や企業競争力の観点が強調されがちだ。しかし、その土台を支えているのは職場で働く人である。働く人の健康、安全、生活が守られ、安心して働くことができてこそ、業務の効率化や生産性向上が実現する。人が疲弊した状態で、生産性の向上や持続的な成長はあり得ない。

法律は一部の先進的な企業のためだけではなく、多くの現場で働く労働者を守る最後のセーフティネットであるべきだ。

いま必要なのは、規制を緩めることではなく、安心して働き続けられる環境を整えることだ。労働基準法は、働く者を守る最低限のルールである。その「最低限」を後退させるような議論になってはならない。

労働組合は、働く者の健康と生活を守る観点から、改正内容を慎重に見極め、現場で働く仲間の声を政策に反映させるため、声を上げ続けなければならない。

JAMには、全国の組合員と直接つながる組織内議員・郡山りょう、準組織内議員・村田きょうこがいる。ともに取り組み、現場の声ではたらくを変えよう。

副会長 越後屋一彦