機関紙発行日 | 発行号 | 内容 | |||
2012年 | 7月25日 | 161号 | 経営とは人材がすべて | JAMの組織を挙げて追求する | |
6月25日 | 160号 | 賃金水準、絶対値を高める | 強い日本へ強い行動が必要 | ||
5月25日 | 159号 | 人材がメイドインジャパンを保証 | ものづくり軽視が日本経済をダメにする | ||
4月25日 | 158号 | 被災者の生活再建へ | 一刻も早い地場企業・工場の再生を | ||
3月25日 | 157号 | 橋本大阪市長の組合つぶしを許すな ! 団結権に対する重大な侵害 【※別表示】 |
-許されない大阪市の職員アンケート- 許しがたい不当労働行為 |
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3月25日 | 157号 | 2012春闘 賃金改善、昨年比100円増 | 最低でも賃金構造維持分確保を | ||
2月25日 | 156号 | 2012春闘 3月末決着へ総力結集を | 賃金制度確立、60歳超の雇用と所得確保 | ||
1月25日 | 155号 | 2012春闘 力を合わせて景気回復 | 復興と賃金水準復元めざし | ||
2012年 | 1月 1日 | 154号 | 2012春闘 復興・再生へ 賃金・一時金確保、 高度熟練技能継承 活動範囲拡大へ | ||
2011年 | 11月25日 | 153号 | 2012春闘 1%、復元と格差是正 希望者全員の65歳までの雇用確保 | ||
10月25日 | 152号 | 高年齢者 雇用継続の環境整備へ | 春闘 重点課題とし組織挙げ取り組む | ||
9月25日 | 151号 | 足元を見つめ一つずつ | 眞中行雄JAM新会長あいさつ | ||
8月25日 | 150号 | 河野和治JAM会長あいさつ | 第13回定期大会主催者あいさつ (要旨) | ||
7月25日 | 149号 | ゼロ災職場の実現へ | リスクアセスメントの実施を | ||
6月25日 | 148号 | 3・11 大震災の影響を受けつつも一定の前進 | |||
5月25日 | 147号 | 東北・日本の復興へ | JAM37万人の連帯と共助で | ||
4月25日 | 146号 | 熟練技能の伝承 | 人材育成へ国・自治体の支援を | ||
3月25日 | 145号 | がんばれ!被災地のみなさん | ボランティア、慎重に確認を | ||
2月25日 | 144号 | 賃金構造維持分を確保し、 復元への足掛かりの春闘に | |||
1月25日 | 143号 | 今年こそ行動の年へ | |||
2011年 | 1月 1日 | 142号 | 2011春闘 賃金水準を復元 | デフレ脱却を目指す | |
2010年 | 11月25日 | 141号 | 2011春闘 労働条件の回復・向上を目指せ | ||
10月25日 | 140号 | 労働者派遣法 保護の改正案、早期成立を | |||
9月25日 | 139号 | 自殺、組合員も年間20~30人 | メンタルヘルス対策の強化を | ||
8月25日 | 138号 | 単組の力を集めて役割果たす | 第12回定期大会 河野会長あいさつ(要旨) | ||
7月25日 | 137号 | 参院選 総力戦、二期目に結実 | 連携し政策活動の充実・強化へ | ||
6月25日 | 135号 | 参議院 津田やたろう再選へ | 個人名投票の徹底と実行を | ||
5月25日 | 134号 | 最賃協定 締結・水準アップを | 均等・均衡処遇と安定成長へ | ||
4月25日 | 133号 | 津田やたろうを再び国会へ | 職場と家庭であらゆる行動を | ||
3月25日 | 132号 | 2010春闘 最低、構造維持分の確保を | 現場力は人への投資が不可欠 | ||
2月25日 | 131号 | 2010春闘 賃金構造分確保し、景気の底割れ阻止 | |||
1月25日 | 130号 | 春闘 まず要求すること | 津田やたろう再選 一人ひとりの努力と協力を | ||
2010年 | 1月1日 | 129号 | 津田やたろう 必勝 | 2010春闘 賃金水準を下げない | |
2009年 | 11月25日 | 128号 | 〝賃金を下げない〟 | 実態把握、時間外割り増しも強化 | |
10月25日 | 127号 | 新政権に大きな期待 | JAMのものづくり制作実現へ |
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9月25日 | 126号 | 津田やたろう再選へ | 製造現場と同じ目線に立って国会で活動 | ||
8月25日 | 125号 | これからの10年に一層の前進を | 第11回定期大会 河野JAM会長 あいさつ | ||
7月25日 | 124号 | 衆議院総選挙 行動しよう、投票に行こう | 日本の政治と社会を変えよう | ||
6月25日 | 123号 | 衆議院総選挙 政権交代へ最大のチャンス | 組織の総力を挙げ熱い取り組みを | ||
5月25日 | 122号 | 本格的な景気回復へ | 政権交代で将来不安解消し | ||
4月25日 | 121号 | 総選挙で民主党政権を | 勤労者の望む政策実現のために | ||
3月25日 | 120号 | 2009年春闘 基準達成へ取り組み強化を | 賃金構造維持分確保へ結束固め | ||
2月25日 | 119号 | 賃上げが第一の景気対策 | 人への投資で悪循環阻止へ | ||
1月25日 | 118号 | 09春闘、三つの柱で闘う | 第14回中央委員会 河野和治JAM会長あいさつ要旨 |
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2009年 | 1月 1 日 | 117号 | 要求し、交渉し、力へ | 新しい政権下で10周年を --2009新年あいさつ-- | |
2008年 | 11月25日 | 116号 | 一歩前進も、中小は除外 | 時間外割増率 月60時間超は50%以上 | |
10月25日 | 115号 | 内需中心への転換、加速を | 金融危機から世界同時不況 | ||
9月25日 | 114号 | 総選挙目前、政治を国民の手に | 参議院議員・津田やたろう | ||
8月25日 | 113号 | 明るい未来へ奮闘を | 第10回定期大会河野和治会長あいさつ | ||
7月25日 | 112号 | マイエコバック利用を | |||
6月25日 | 111号 | 09春闘へ 賃金と労働時間 の取り組み | 実態把握と分析がカギ | ||
5月25日 | 110号 | 現代版〝姥捨て山〟 | 怒りと批判に小手先のゴマカシ | ||
4月25日 | 109号 | メーデーに参加しよう | 起源は8時間労働制の要求 | ||
3月25日 | 108号 | 妥結平均6,039円 | 賃金改善の流れを「ウネリ」へ | ||
2月25日 | 107号 | 2008年春季生活闘争 | 強く主張し、要求実現を | ||
1月25日 | 106号 | 要求しなければ何も変わらない | 賃金・労働時間、実態把握し、積極的要求を | ||
2008年 | 1月 1日 | 105号 | 実践され結果のでる運動へ | 衆院選、民主党政権で働く者の尊厳守れ | |
2007年 | 11月25日 | 104号 | 賃金・労働条件、実態把握がポイント | 提出日に要求できる準備を | |
10月25日 | 103号 | 長時間労働が慢性化していませんか? | 抑制し、命と健康を守れ | ||
8月 5日 | 100号 | 春闘改革、JAM結成8年 | 賃金の底上げ闘争に成果 | ||
7月25日 | 99号 | 投票で「労働ビックバン」を潰せ! | 投票へ行こう | ||
6月25日 | 98号 | 消えた年金 自公政権の責任逃れ許さず | 参院選 民主党の躍進で解決へ | ||
5月25日 | 97号 | 暮らしが良くなる政治へ | 参院選、とどろき利治氏の必勝を | ||
2007年 | 4月25日 | 96号 | 雇用安定・生活改善へ | 政治の流れを変えよう |
経営とは人材がすべて
機関紙JAM 2012年7月25日発行 第161号
戦後復興期から1980年代後半までの日本企業は、良質で豊かな労働力を一つの事業目的にむけ終身雇用や年功などの人事制度によって、有機的に結合・機能させて先進国から技術を吸収しつつ、海外企業との激しい競争でシェアを拡大させてきた。加えて、労使間や労働者同士の無用な軋轢を排除することもできた。
こうした日本的経営による集団的労使関係は、経済環境や社会背景とマッチし、強力な組織への帰属意識で結びつくことにより、安定した企業組織を持続することを可能にしてきた。
経済成長というパラダイムの中で構築してきた企業内の仕組みや人事の慣行・習慣は、そのパラダイムを前提として最適化され、その企業で雇用される労働者の誰もがその環境の中で働いている。
しかし、経済成長を前提として構築してきたわが国の企業基盤や産業構造は、現在でも一部通用する産業や事業はあるものの、マクロ的に見れば明らかに変化せざるを得ない時期に来ている。
わが国はバブル経済が崩壊するまでは右肩上がりの成長を続けながらも、ところどころでは不況も経験してきた。
このときに、わが国の多くの企業は、新規採用の削減や非正規雇用を拡大するなど、人件費コストをカットして「好況という春」が来ることを待ち続けて不況を乗り切るといった不況対策モデルを繰り返してきた。
実はこの「冬ごもり春待ち経営」が問題の解決を先送りにしてしまい、結果的に設備や人材を劣化させてしまった。
わが国のものづくり企業では、現場で伝承されている「匠の技」的なものが多く、これこそ世界における競争力の源泉であることは論を待たないが、この成長の源泉であった団塊世代の労働力は65歳に達し、労働市場から大量に退出している。
熟練技能者が有するノウハウを若い世代に伝承していく仕組みや制度を国と企業が再構築するには、すでに待ったなしの時にきている。
JAMは、春季生活闘争や労働協約改定の取り組みにおいて「人への投資」を訴えるとともに、非正規労働者の組織化に加えて、雇用・産業・社会政策への提言活動などを通じて、「経営とは人材がすべて」であるということを組織をあげて追求していかなくてはならない。
賃金水準、絶対値を高める
機関紙JAM 2012年6月25日発行 第160号
JAMの2012春季生活闘争は、5月時点で約8割の単組が要求し、その内6割強が妥結している。我われが要求を検討してきた12月時点と春闘の山場であった3月中旬を比較すると「超円高」や「株安」からは一服感もあり、3月末の企業業績は業種により温度差はあれども、全体としてみれば予測よりは結果が上回った。しかし、経営側は賃金(人件費)をコストとしかみない姿勢を変えず、全体としては定期昇給をめぐる交渉となった。
連合が掲げた「デフレからの脱却」と「人への投資」については、ここ数年の企業の貯蓄と投資の差をみれば明らかに余剰資金があり、その資金は金融資産として投資されている。国内での設備投資や賃金の底上げ、雇用機会の拡大へは向かわず、金融や海外投資が増加し国内の成長にはつながっていない。我われが生み出した付加価値を労働者に適正に配分することでモチベーションを高め、企業を活性化し、ひいては家計の所得の増加を通じて、お金の循環とデフレからの脱却を促すことが肝要である。
このことは、単年度の春闘議論だけでなく中期的な労使の課題である。企業は決して資金不足ではなく、投資をする根拠や背景がないことが問題であり、我われは積極的に「人への投資」を促す根拠を組み立てていかねばならない。
産別や企業の枠を越えた横断的な春闘という機能が変化し、統一的な基準を設定することが難しくなる中で、賃金カーブの維持を大切にしながらも、上げ幅だけでなく絶対値としての賃金水準を高める取り組みが必要である。
一人前到達水準やミニマム基準を指標とし、個別の賃金を公開することにより、社会的な相場を形成していくことは、中小労働者や非正規労働者の底上げにも通じる。企業にお金を使わせるためにも、全体として取り組める春闘にしていかなければ春闘そのものが崩壊しかねないし、デフレからの脱却もない。すなわち強い日本をつくるためには、強い行動が必要ではないか。
人材がメイドインジャパンを保証する
機関紙JAM 2012年5月25日発行 第159号
日本国内のものづくりは海外とのコスト格差や為替レートにより、競争力を失っていくという悲観的な見方がある。野口悠紀雄氏の「ものづくり幻想が日本経済をダメにする」などという、タイトルからみるとトンデモない本も売れているようだ。一方で、外資系や、海外企業が中国から日本国内の工場へ生産を移管しているケースも最近目立ってきている。これらの企業は「メイドインジャパン」の価値を良く理解しているということらしい。
日本の工場の製造コストは確かに高いけれど「メイドインジャパン」という原産地証明が高コストを補って余りある価値をもつとの判断である。その価値とは納期の短縮化と品質の優位性であり、その品質の優位性を保証しているのが「人材」である。現場作業者のレベルの高さ、優秀さである。技術・技能のレベルはもとより工夫や提案といった自発性、ひたむきに仕事に取り組む真面目さ、目標に向かって協力し合う姿勢などが高品質を保証する日本の強みなのである。しかし、ものづくり軽視の社会的風潮や安易な海外生産への移管、短期的な個人の成果のみを重視する労務政策、技能者の後継不足などにより、この日本の強みが徐々に失われてきているのではないか。「ものづくり軽視が日本経済をダメにする」ことが心配である。
そのような危機感からJAMは結成以来、ものづくりの重要性とその発展・強化を訴え、多くの提言や要求を行ってきた。昨年からは、提言から実践へということで厚生労働省の「ものづくり立国推進事業」を受託し、労働組合としては前例のない「熟練技能継承事業」をスタートさせた。労働組合としてやるべきことなのか、どこまでやれるのか自問自答をしながらの決断であった。ものづくりに情熱を傾ける高校生や、技能向上をめざす中小企業の仲間をサポートし、日本の強みを守り育てる取り組みである。指導を受けた学校、企業の評価は予想以上に高く、JAMの決断は英断であったと自負している。2年目の事業も順調にスタートしている。
JAMによる労働組合としては画期的な取り組みが、日本全体のものづくり強化の大きな流れの呼び水になればこれに勝る喜びはない。
被災者の生活再生へ
機関紙JAM 2012年4月25日発行 第158号
東日本大震災が発生してから1年余が経過したが、被災地における復興・再生への道程は必ずしも順調とは言い難い。
特に復興・再生に向けた国や自治体による具体的な取り組みの遅れや、復興に必要なマンパワー不足が指摘されている。併せて、福島県では福島第一原子力発電所の放射性物質漏れ事故における国や東京電力の対応の遅れも指摘せざるを得ない。
災害廃棄物処理の問題では、宮城県・岩手県のがれきを既に受け入れている自治体は東京都など3都県しかなく、受け入れを検討している自治体もまだまだ少ない。被災地以外の自治体で災害廃棄物の受け入れが進まない大きな要因は、政府が示している放射線量の基準値を下回れば本当に安全なのか、受入れ自治体の住民に根強い不信感があるからである。今年2月に発足した復興庁が全国の自治体に対して宮城県・岩手県の災害廃棄物の処理問題について強い主導力を発揮すべきである。
政府は震災発生から5年間を集中復興期間として19兆円の財政支出を計画しているものの、住民の集団移転や津波被災地での復興事業と防災関連工事、さらには原発事故に伴う放射性物質の除染などの費用は見積もり以上にふくらむことも予想される。早急に復興関連予算を執行するとともに、生活再建や企業再建関連については関係自治体や住民の声を最大限に優先すべきである。
被災地での復興・再生に最も重要な課題は被災者の生活再建であり、そのためには長期安定雇用の場が確保されなければならない。
東北地方は、わが国ものづくり産業のサプライチェーン集積地でもあることから、一刻も早い地場企業や工場の再生が被災地復興のための不可欠な課題である。国や自治体などに加え、大手企業等からの支援によって、世界に誇る「ものづくり企業」としての現場力や品質へのこだわり、さらにはきめ細かいサービスを復元させなければならない。
地場中小企業では、復興までの期間が長期化した場合は、廃業や規模縮小による雇用不安の発生も予想される。震災発生後1年余りが経過し、雇用調整助成金も期限切れの時期を迎える事業所も少なくないことから、雇用確保関連の政策実現を期待したい。
被災地域での新規採用については、今後の経済状況や復興計画の進捗が不透明なこともあり、求人の減少や内定率の低下も懸念されるが、復興後の中心的な世代となる若年労働者の雇用と生活の場の確保は極めて重要な課題である。
JAMとしても「ものづくり産業労働組合」として、被災地域の復興・再生に向けて社会的責任の一端を担わなければならない。
賃金改善、前年比100円増
機関紙JAM 2012年3月25日発行 第157号
2012年春季生活闘争は、要求提出以降大手労組を中心に粘り強い交渉が展開され、統一回答指定日を経て、全体として組合員の生活を守る一定の成果を引き出したことから、中小労組を含む多くの単組で3月内決着に向け懸命な努力が続いている。
昨年の闘争は震災の直後であり、異例の対応となった単組も多くあったが、この1年、震災の影響に加え、円高・デフレの継続、タイの洪水など組合員は企業に対し献身的に協力し、一定の利益を確保してきた。そのことは今次交渉で経営側も評価し、個別交渉ではいわゆる「定期昇給を巡る攻防」とはなっていない。我われはこれまでの定期昇給制度をベースとした労使の信頼関係を再認識し、「企業を支えるのは人である」ということを改めて強く主張すべきである。
政府が3月21日に発表した3月の月例経済報告では、「景気は緩やかに持ち直している。また先行きについては、各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が確かなものとなることが期待される」とされ、この間の円安ドル高・ユーロ高や株価の持ち直しなど、我われが要求を組み立てた昨年末よりは景気動向は上向いていると言える。このことからも各単組が自分たちの要求に自信を持ち、粘り強い交渉を展開してほしい。
JAMの直近データ(3月19日集計)では、昨年同時期に比べ平均妥結額でほぼ同額、改善額では約100円程度増加している。また、一時金においては、妥結単組数が約1.7倍となり、妥結月数も若干のプラスとなっている。これらを踏まえ、4月上旬段階での取り組みでは、最低でも賃金構造維持分の確保あるいは平均賃上げ4,800円以上とし、一時金については生活防衛の観点からも昨年実績に+αできるよう努力すること。加えて、2013年問題に対応するため、最低でも労使協議の場を確保してほしい。また企業内最賃協定や非正規労働者の処遇改善も含め何らかの前進をはかることとしている。
3月末決着へ総力結集を
機関紙JAM 2012年2月25日発行 第156号
JAMの2012春季生活闘争は、2月21日の統一要求日をむかえ本格的な労使交渉がスタートした。
わが国のものづくり企業は、高度な技能や技術によって付加価値の高い素材や製品を供給してきた。しかし、新興国でのものづくり企業の台頭や、為替リスクや安い人件費などを理由とする国内企業の海外拠点へのシフトなどによって、世界のものづくり拠点としての地位が急速に低下している。
わが国の中小ものづくり企業が、今後も世界のマザー工場として勝ち残るためには、優秀な技術者や高度な熟練技能を有する人材の育成が不可欠な課題である。そのためには、企業の発展とともに人も成長していく社内制度の導入が不可欠な条件であり、会社の経営の意志の伝達と共有、組合員の頑張りや能力に対して公正に報いる仕組みの一つとして賃金制度がある。
賃金制度の確立によって、会社や仕事に対する高いモチベーションの維持につながり、さまざまな障害をも克服できる強い企業へと成長する。 賃金制度が確立されていない組合や賃金制度はあっても運用に問題がある単組は、今次春季生活闘争を契機に職場の実態に合った賃金制度を確立してもらいたい。
賃金制度が確立されている組合は、長期安定雇用のベースとなっている定期昇給制度を維持・改善していくことが、労使双方の責任であるとともに、現場力と競争力の強化につながることを経営側に強く訴えていかなければならない。
加えて、労働契約法改正や高年齢者雇用安定法改正などを審議する第180回通常国会も山場を迎える。
今次国会で厚生労働省が上程を予定している各労働関係法の改正案は、働く者の立場からすると必ずしも満足のいく改正法案とはなっていない。労働関係法の更なる改正をめざすためには、法律を上回る労働協約の締結促進が重要な取り組みとなる。
特に、60歳以降の雇用と所得確保の取り組み推進は待ったなしの課題であり、2013年4月からの公的年金受給年齢の段階的繰り延べにより、一時的であっても所得がゼロになる可能性がある者がいてはならない。
賃金交渉とともに今次春季生活闘争での交渉事項として、全単組が着手しなければならない。
JAM加盟の全単組が3月末決着をめざして総力を結集して、2012春季生活闘争に取り組もう。
2012春闘 力を合わせて景気回復
機関紙JAM 2012年1月25日発行 第155号
2011年3月11日に発生した東日本大震災は多くの尊い人命を奪い、その後の福島第1原発事故の影響も加わって日本経済は大きな打撃を受けた。しかし苦難に立ち向かう被災地の労使の懸命な努力と全国民的な絆によって生活基盤の再建や産業の再生も進んでいる。震災復興が2012春季生活闘争の第1の課題である。十分な予算措置の下で復興政策の推進が求められる。JAMは当該地方との連携を強めながら、個々の被災企業・単組の実情に見合ったきめ細かな支援を継続する。
次に、この間低下してきた賃金水準を中期的に復元して行くことが第2の課題である。賃金低下の背景には賃金制度の不在や賃金実態の未把握があった。属人的に若干の賃上げはあっても今の30歳は5年前の30歳より賃金が低い。このままでは5年後に今の35歳の賃金水準に到達できない。賃金実態を把握し個別賃金水準を重視した取り組みが必要だ。
第3にいわゆる2013年問題を目前に控え、65歳までの雇用と所得を確保することが今春季生活闘争の重要な課題である。今個人消費の隠れた主役は高齢者世帯の支出だ。年金支給開始と雇用期間を必ず接続させ、生計費を満たす所得を確保しなければならない。
そして上記の3点を含めて円高とデフレの悪循環を断ち切ることが第4の課題だ。日本経済は長期の円高デフレに喘いでいる。デフレとは物の値段が下がり貨幣価値が上がることだから円高の最大の要因だ。またデフレは国内需要の不足が原因だから内需を拡大しないとデフレ脱却は不可能だ。デフレでは実質金利負担が上昇するから企業は投資に消極的になる。従って内需の6割強を占める個人消費を拡大するしかない。労働分配率低下の最大の要因は低賃金非正規労働者の増加だから、非正規の処遇改善も消費の拡大にとって不可欠の要素だ。企業の減量経営は合成の誤謬で需要を縮小させるが、労働者の生活防衛の取り組みは相乗効果で景気回復を支える。そのことに確信を持って2012春季生活闘争で力を合わせよう。
賃金・一時金確保、高度熟練技能 活動範囲拡大へ
機関紙JAM 2012年1月1日発行 第154号
新年あけましておめでとうございます。
新しい年のスタートを全国の組合員・家族の皆様と一緒に慶びたいと思います。
昨年2011年は終生忘れられない年になりました。3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方を中心に亡くなられた方、未だに行方の分からない方、約2万人という最悪の自然災害となりました。加えて福島第一原子力発電所事故によって、多くの方々が避難生活を余儀なくされています。被災地のみなさんが一日も早く元の生活に戻れるよう、1億2千万人の国民全体での支え合いが不可欠であると思います。
世界経済も予断を許さない状況にあると言えます。2008年のリーマンショック対策として各国は財政出動など景気浮揚策をとってきたものの、そのことが財政悪化を招き、ギリシャやイタリアなどEUでの財政危機が世界中に飛び火するのではとの不安も高まっています。
こうした環境の中で取り組む2012年春闘は、大震災によって被災した地域の復興・再生を成し遂げるためにも、約500兆円規模のGDPの6割を占めるといわれている個人消費を確実なものにし、景気の底支えを果たさなければなりません。そのためにもまずはしっかり賃金・一時金を確保する重要な取り組みとなります。
1999年9月9日に結成したJAMは13年目の活動に入り、歴代役員や全国の仲間の力によって、確実に成果を積み上げてまいりました。さらに世の中に対するアピール力を高めるため、組織名に通称「ものづくり産業労働組合」を付加し、日本のものづくりをさらに発展させることに寄与する姿勢をアピールしました。
その一環として昨年春から厚生労働省からの委託事業として、多くの先輩方のお力も借り、旋盤・フライス盤・鋳造・機械保全などの分野で「高度熟練技能継承事業」に取り組みはじめました。本年もさらに活動範囲を広げ、日本のものづくりの強さを維持・発展させるため人材の育成をお手伝いし、日本の製造業における付加価値の半分を支えている中小企業の技能向上にも微力ながら着実に取り組んでいきたいと思います。
課題は山積していますが、全国の仲間と力を合わせ、連合が提唱している「働くことを軸とする安心社会」の実現めざし、今年も変わらぬ皆様のご支援、ご協力をお願いし、年頭のあいさつといたします。
1%、復元と格差是正 希望者全員 65歳までの雇用確保
機関紙JAM 2011年11月25日発行 第153号
わが国の経済は、リーマンショックから立ち直り緩やかな回復を続けてきたが、3月11日の東日本大震災の発生により、経済活動は再び大きな打撃を受けることになった。ものづくりのサプライチェーンが寸断され、工場の操業短縮や停止に追い込まれたが、懸命な努力により生産が回復し、8月には輸出も昨年比プラスに転じた。しかし、ドルの信用低下や欧州の経済危機などにより異常な円高となっており、先行き不透明と言わざるを得ない。
- すべての労働者のために1%を目安とした配分を求め、労働条件の復元・格差是正に向けた取り組みを進める。
- デフレから脱却できず、内需が弱く、市場縮小が続く日本経済にあっては、日本企業の良さである現場の技術力や付加価値の高いものづくりにより、雇用の安定と積極的な人への投資を行い、その成長を適正に配分し、消費拡大、内需拡大へとつながる好循環にしていかねばならない。そのためにも格差是正・底上げが必要
―というもの。
JAMとしてもこのような考え方に基づき、昨年に引き続き賃金構造維持分を確保したうえで、この数年間に、賃金構造維持分を確保できなかった単組は、賃金水準の回復を目指す中期の是正を求め取り組む。また、個別賃金要求と賃金制度の確立、企業内最低賃金の締結と引き上げ、生活防衛の観点から一時金水準の確保・向上を要求の柱とし、加えて2013年の老齢年金の支給開始年齢の引き上げにより、年金が全く受給できない期間が生じるため、
①希望者全員を対象にした65歳までの雇用確保取り巻く環境は昨年以上に厳しいなかでも、昨年同様に要求を掲げ、成果を引き出せるよう組合員との意思疎通を図ろう。
②60歳以降の賃金制度の整備と所得水準の維持
③対象者の組合員化を進めなければならない。
高年齢者 雇用継続の環境整備へ
機関紙JAM 2011年10月25日発行 第152号
2013年4月に厚生年金受給開始年齢引き上げられる(報酬比例部分)。これに伴い、60歳定年以降も働くことを希望したにもかかわらず、雇用が継続されず無収入になる者が生じることから、高年齢者の継続雇用問題への対応が急がれている。
高年齢者の雇用問題は、団塊の世代といわれる昭和22年~24年生まれの者が数年後には労働市場から退場することに加え、10年後(2020年)には20~34歳の就労者数が今より300万人以上も減少すると見込まれるなど、様々な問題に関係する重要な課題でもある。
JAM加盟単組では労使協議の結果、高年齢者が働き続ける環境は着実に進展したが、まだ多くの企業で希望する全ての者が継続雇用される環境には至っていない。
特に中小零細のものづくり企業では、熟練技能を有する高年齢者の定年による退職が続く一方で、若年労働力不足や中高年を対象とした職業能力の再開発不足などで、高度熟練技能が伝承されず、このままでは熟練技能・技術が途絶える可能性がある。
労働力人口の減少は、経済社会の活力低下だけでなく、社会保障制度の支え手の減少にもつながることから、働く意欲と能力を有する全ての高年齢者が働ける社会の実現にむけて、環境整備を急がなければならない。
しかし、課題は多い。高年齢者が働ける職域の拡大、高年齢者の労働安全に配慮した機械設備の改善や導入、生活の安定を考慮した賃金制度や国による所得補償支援制度の拡充、柔軟な働き方が可能な制度の導入など、ハード・ソフト両面での環境整備が必要になってくる。
特に企業が支払う賃金は、高年齢者の仕事内容に見合った水準を考慮・確保しつつ、国の高年齢雇用継続給付金を加算するなどして、働くことを希望する全ての高年齢者が、安定した生活を保つための所得確保の実現にむけて、労使が話し合いの中で決定すべきである。
そのためには、職業生活が今より長期化することを前提に、60歳代前も含めた人事管理の見直しも課題になる。
また、労働者自身も65歳まで働けるよう、自らの職業能力を把握し、高齢期になっても仕事内容の変化に対応できるよう、職業能力開発や健康管理に努める必要がある。
高年齢者の継続雇用は、高年齢者が長い職業生活で培ってきた技能や知識を社会全体で有効に活用する重要な取り組みであると認識し、JAM2012年春季生活闘争の重点課題の一つとして位置づけ、全組織をあげて取り組みたい。
足元を見つめ一つずつ
機関紙JAM 2011年9月25日発行 第151号
JAMを取り巻く環境は、大変厳しいものがありますが、その解決には、常に足元を見つめ、一つずつやる以外にしか道はありません。
そうした観点から、3点のポイントだけ申し上げておきたいと思います。
まず1点は、震災からの復旧・復興そして再生です。復旧復興、再生には、国家レベルの取り組みも当然、必要であります。JAMとしては被災地の皆さんと連携を密にしながら、JAMとしてできるものを確実に支援していきたいと思っております。
二つ目には、高度熟練技能の継承活動です。日本のGDPは約500兆といわれておりますが、そのうち製造業の付加価値が約100兆といわれ、この100兆のうち約半分、48兆がいわゆる中小の皆さんによる付加価値となっています。したがって、日本の経済を引き続き発展させるためには、文字どおりこの中小企業の発展なくしてはできない。したがって、JAMとしては産業別労働組合の責任として、旋盤、フライス等の技術を継承するという取り組みについて引き続き行い、次年度も委嘱いただくように努力していきたいと思っています。
3点目、組織強化、拡大、充実、財政基盤の確立です。組織の拡大というのは、我われ労働組合にとって永遠のテーマです。
JAMは、2007年に31あった地方JAMを17に再編し、多くのオルガナイザーを擁しながら、職場に近い産業別労働組合JAMとしてきめ細やかな活動ができる、連合傘下の産別の中にあっても特色のある産別ではないかと思っております。
以上3点を中心に難題が山積しておりますが、PDCA(計画、実行、評価、改善)のサイクルをきっちり回しながら前進させていきたい。ただ、この課題を前進させるためには、17の地方JAMの皆さん、約2千におよぶ構成組織の皆さんの力の結集があってこそ、前進できるものと確信します。
微力ながら我われ執行部はその先頭に立って活動の展開をしていきますので、皆さまのご支援ご協力を切にお願いをし、新役員を代表してのあいさつにいたします。
認識を統一し運動を進めよう
機関紙JAM 2011年8月25日発行 第150号
運動方針の向こう2年間の最重点課題の筆頭に「速やかな震災復興・再生で雇用を守り、被災企業を支える取り組み」を掲げていますが、JAMは大震災発生当日に対策本部の設置を決め、3月15日には先遣隊を現地に派遣し現地状況の把握に努め、支援物資の提供やボランティア活動も含む人的支援を行い、これと並行して、被災地の雇用を守るための雇用調整助成金の受給要件緩和や雇用保険の特例支給、あるいは中小企業の再建支援に向け設備投資借入の返済繰り延べ、運転資金の借り入れ、更には設備機器の早期調達など組織内議員と連携をとりつつ、政府へ要請してきました。
春季生活闘争は、東日本大震災で要求提出の遅れが生じましたが、回答・妥結については概ね昨年・一昨年並みの進捗となりました。 結果は過去の景気回復期に近い賃上げ回答を引き出し、特に300人未満の中小単組の健闘が目立っています。
中小単組健闘の背景には、賃金実態の把握と賃金制度の確立の取り組みが徐々に進展していることがあります。今後とも上げ幅から水準に向けた、通年の活動として取り組んでいくことが重要です。また個別賃金重視と企業内最賃協定の締結拡大・水準引き上げの取り組みも継続的に強化していきます。
男女平等と女性参画社会を目指す活動では、Withの活動が高く評価されており、今後も地方と単組の協力を得ながら進めていきます。
熟練技能者を工業高校や中小企業に派遣する厚生労働省からの委託事業が正式にスタートしました。JAMはものづくり産業における熟練技能継承の重要性を以前から訴えてきましたが、将来のものづくり産業発展に向け、種をしっかり蒔いていく所存です。
産別運動を支え、発展させてゆくには人材と財政基盤が最も重要です。財政強化の観点から組合員登録の適正化を提起しました。単組の状況を細かく把握する中で、計画的に改善を図ります。
JAMは全体の85%が299人以下、その内60%が99人以下の単組です。そうした特徴から地方JAMの下に104の地協を置いています。これら地協は大手、中堅の単組の協力も得ながら、地域での支え合い、助け合いが実践されています。こうした活動を通じて、決まったこと、「決めたことが単組に伝わり、実践される」ことを追求してきました。産別運動の担い手は単組だからです。これからも全単組が認識を統一する中で運動を前進させましょう。
ゼロ災職場の実現へ
機関紙JAM 2011年7月25日発行 第149号
毎年7月1日から7日は「安全週間」である。近年の製造業現場では、生産工程が多様化・複雑化が進むなどして、事業場内での安全衛生に関するリスクが多様化しているとともに、精神疾患の労災認定やメンタル不調を訴える労働者も増え続けている。
職場では、非正規雇用労働者の増加に加え、安全に関する意識やノウハウを持ち合わせている熟練技能者の多くが退職したことによって、過去から積み重ねてきたKY活動やヒヤリハット活動などの取り組みが低調になっているとも指摘されている。JAMは1999年9月に結成して以来、2000年4月から1年間を区切りとして、職場の災害実態調査を実施しており、2010年4月~2011年3月末までの調査の結果をみても、職場での労働災害は減ってはおらず、特に昨年夏は猛暑だったことも要因の一つだと思うが、2010年6月から9月の労災発生件数が多かったことが報告されている。
従来の労働災害を防止する主な活動は、発生した労働災害の原因を分析し、類似する労働災害を防止するための対策を確立して、従業員一人ひとりに徹底していくというものである。
しかし、この手法だと労働災害が発生していない職場では、潜在的な労災発生の危険性があっても適切な労災防止対策ができずに、いつかは労働災害が発生する可能性がある。特に中小企業では労働災害発生件数そのものもが少ないこともあり、潜在的な職場の労災事故発生リスクを見つけ出す機会は多くない。
これからの労働安全衛生対策としては、労使による職場パトロールや安全衛生委員会による職場の潜在的な労災発生リスクを見つけ出し、事前に的確な対策を打ち出すことを基本とした「リスクアセスメント」の実施が必要である。
今年は、東日本大震災発生による生産ラインの確保や、電力会社からの企業に対する節電要請などもあり、休日振替えや夜間操業など勤務シフトを変更するなどしている企業や単組も多いことから、労災事故発生リスクは例年よりも高いと推測される。
ゼロ災職場の実現にむけて全員参加による労働安全衛生の活動に取り組もう。
3・11 大震災の影響を受けつつも一定の前進
機関紙JAM 2011年6月25日発行 第148号
JAMは5月31日第19回中央委員会で、2011年春季生活闘争の中間総括をまとめた。 1,631の企業単位のうち、1,155単組(71%)が賃金要求を組み立て、5月19日集計時点では988単組に回答が示され924単組(57%)が妥結している。
交渉の進展状況としては過去最低のペースで推移しているが、背景に東日本大震災の影響があるものと考える。しかし、妥結結果としては、今年の要求の基本方針である「これ以上賃金を下げない。さらに過去低下した賃金を回復させるための是正要求を組み立てる」ということが多くの組合の要求に反映され、全体平均では対前年比305円のプラスであり、各単組の精力的な交渉の結果である。中でも積極的な是正・改善に取り組んだのが370単組で、うち168単組が平均で1,062円の是正・改善原資を獲得している。
各単組は、要求作成段階から自らの賃金実態を把握・精査し、JAM結成からの10年間でどう推移してきたのかを自らが分析し、JAM方針に合わせどうマッチさせるかということを真摯に検討してきた。JAM全体の賃金水準、業種、地域など、それぞれ賃金を考える上での判断材料はあるが、それを実現するのは各単組の交渉につきることは言うまでもない。今年の結果はそのこだわりをもった要求に対する「証」である。
JAMの構成組合は300人未満が8割、100人未満が6割を占め、賃金制度を確立できていない単組が50%にもなる。賃金制度確立に向けては地協担当のオルグ研修も開催しており、単組役員との連携により確実に制度化への取り組みが重要である。賃金制度確立は組合員の生活安定にとどまらず、仕事に対するモチベーションアップ、さらには組合員の人生設計(結婚、持ち家など)にも大きく役立つものである。
昨年10月に行った組合員意識調査(回答13,703人)でも、今後充実すべき最重点項目として「賃金・一時金などの労働条件改善」を挙げており、さらなる活動の強化に取り組まなければならない。
東北・日本の復興へ
機関紙JAM 2011年5月25日発行 第147号
あの3・11からまもなく3カ月目を迎える。死者15,269人、行方不明者8,526人、避難生活を強いられている方いまだ102,501人(5月29日現在)。あらためて被害の大きさに慄然とさせられる。
呆然自失の状況から少しづつ立ち直り、復旧から復興への流れも見えてくるようになった。しかし、大津波の被害にあった太平洋沿岸地域はまだまだ復旧には程遠い状態であるし、福島第1原発をめぐる状況は、住民に想像を絶する不安感と過酷な生活を強いている。
JAMの仲間も8人が犠牲となり、組合員の同居家族22人もお亡くなりになっている。家を失くし、避難所暮らしを余儀なくされている仲間もいまだ多数にのぼっている。
JAMはいち早く災害対策本部を立ち上げ、甚大な被害を受けた宮城・福島エリアをもつJAM南東北の活動支援からスタートし、組合員から要望のあった救援物資の集約と配送の取り組み、救援カンパの取り組み、連合救援ボランティアへの参加者派遣、被災者の雇用確保、生活支援に向けた政策的取り組みなどをこの間行ってきた。
今後は、JAM共済金の給付や、被災した企業の復興支援の取り組みも本格化する。2012年度の運動方針も震災からの復興の活動が大きな柱となるであろう。
ものづくり産業は日本の生命線であり、自動車産業に起こったサプライチェーンの機能不全状況は、そのものづくりの生命線を実は東北地方が握っていたことを我われは思い知らされた。東北の復興なくしてものづくりの復興はあり得ない。肉親を財産を事業場を一瞬にしてなくしたJAMの東北の仲間が、操業再開に向けて労使で全力の取り組みを行っている。避難を余儀なくされた福島の仲間もあらたな地での操業や、他企業への在籍出向などで雇用と生活の確保に全力を傾注している。
今こそJAM37万人の連帯と共助の精神を最大限に発揮するときである。東北はもとより日本の復興に向けて1人ひとりが考えて行動をしていこう。
熟練技能の伝承
機関紙JAM 2011年4月25日発行 第146号
技能五輪国際大会(国際技能競技大会)は、今から60年前の1950年にスペインの若年技術者が提唱して、隣国ポルトガルとの2カ国間で技能を争ったことが始まりで、今では若い技能労働者の祭典と呼ばれるにふさわしいものに発展してきた。
大会は2年に1回開催され、わが国は1962年の第11回大会より参加しており、毎回優秀な成績を収めている。特に第11回から第20回(1969年)までは金メダル獲得数で日本が連続1位となっている。しかし、その後の大会では日本の金メダル獲得数ランキングは2~4位の位置を占めているものの、第23回から直近で開催された第40回までは、以前の大会まではほとんどランキング外だった韓国が連続してほぼ1位を独占しており台湾も2位を独占している。
このように韓国や台湾では若年技術者が育っていることもあり、韓国の自動車や電機メーカー、台湾のEMS(受託製造)企業が台頭する大きな要因になっていると察しがつく。
日本の中小ものづくり企業では、若年層に対する求人倍率は高いものの、大企業への就職を希望する若者との雇用のミスマッチが顕在化する一方で、高い技術を有する熟練技能者の高齢化が進み、技能の伝承を危ぶむ声が日増しに大きくなっている。
若年技術者の不足が熟練技能者の高齢化を加速させ、そのことが中小ものづくり企業の技術力の低下と技能の伝承問題を深刻化させている。
日本のものづくり産業は、環境・エネルギー・医療や介護関連などに関する先進技術によって新興国と差別化しようとする流れが強くなってきている。この流れは中小ものづくり企業にとっても無縁ではない。発注元企業は、それぞれの加工工程ごとに、それを得意とする下請け企業に発注し、川上と川下の各下請け企業が担当する工程をつないで完成品に仕立て上げてきた。
しかし、バブル景気崩壊などを機に、発注元企業が中小下請け企業に求めているのは、環境や希少資源に配慮したものづくりはもちろんのこと、自社が得意としてきたコア技術と、川上と川下の工程までも一貫して請負える高い技術、設計や仕様の不十分な点などを発注元企業との「すりあわせ」によって改善してくれる高度な技能である。
日本企業がアジア諸国に製造拠点をシフトしてきたことによって、現地企業は日本企業から得たものづくり技術を蓄積し、一定の品質を低コストで製造できるようになってきている。
ものづくり企業における熟練技能の伝承は、企業労使の責任による取り組みを前提としつつも、国・自治体などの行政機関や教育機関などによる人材育成への支援が極めて重要かつ喫緊の課題となっている。
特に中小ものづくり企業では、人から人へ受け継いでいくしか維持できない熟練技能は少なからず存在しており、その技能が伝承され持続的に発展していくか否かによって、その企業の存亡も左右する。
がんばれ!被災地のみなさん
機関紙JAM 2011年3月25日発行 第145号
3月11日午後2時46分に、宮城県牡鹿半島の東南東約130㎞付近を震源とするマグニチュード9.0の地震が発生した。さらにこの地震発生の直後に、東北地方の太平洋沿岸の広い地域に最大10mにも達する津波が到来して壊滅的な被害を受けた。
今回の地震と津波は、近代日本が過去に経験したことのない観測史上最大の規模であったことに加え、被災地域に立地している福島第1原発と同第2原発では、炉心を冷却する注水機能が失われる事態が発生するなど、地域社会や日本経済に与える影響は予測できない状況となっている。
被災されたJAM組合員とそのご家族をはじめ地域住民の方々の世界観測史上最大級の地震と津波に続く原子力発電所の放射性物質漏れ事故に対する恐怖と、先の見えない不安と蓄積する疲労は想像を絶する。
被災地では自治体や全国社会福祉協議会によるボランティアセンターが順次開設され、救援活動が始まっているが、救援物資を運ぶ物流機材が不足していることに加え、未だ立ち入りが制限されている被災地域もあるなど現地では混乱が続いている。
今回の震災による被害は、過去に例のないほど甚大かつ広範囲であることから、復旧・復興は長期にわたることが予想される。救援ボランティアによる活動が地域の復旧と復興に大きな力を発揮することから、被災した方々や自治体などでは救援ボランティア活動に大きな期待を寄せている。
しかし、災害の規模や発生から経過した時間などによっては、ボランティアが被災地の人々や救援活動を優先している自治体などの活動の迷惑になる可能性もある。
被災地では被災された方々が避難所に移動するためのガソリンが不足し、公的な避難所も不足している。このような時期に被災地の状況を把握せずに、水・食料や身の回りの物も持たずに、宿泊する場所も自分自身で確保せずに現地へ行くことは、思わぬ事故につながり、かえって被災地の方々の負担になってしまう。
JAMの多くの仲間からも救援ボランティアについて問い合わせがある。われわれも一刻も早く救援ボランティア活動に参加すべく現地に赴きたいと思うが、まずは自分自身で被災地の情報を収集し、現地に開設されているボランティアセンターに活動への参加方法などについて確認することが大事だ。
また、被災地では被災した方々のプライバシーや心情などに配慮し、言葉づかいや行動にも気を配ることも忘れないでほしい。
頑張れ被災地の皆さん。
賃金構造維持分を確保し、復元への足掛かりの春闘に
機関紙JAM 2011年2月25日発行 第144号
いよいよ2011年春季闘争の具体的交渉がはじまった。08年9月15日のリーマンショックから2年余が経過し、持ち直しつつある経済を、より自立回復を確実なものとするため、連合は家計部門と企業部門の配分を是正し、「全ての労働者のために」「全ての労働組合が1%を目安に適正な配分を求める」として、賃金のピークであった97年水準に復元させることを基本としている。また、今年の特徴はこれまでの消費者物価を根拠とした要求ではなしに、中期的な賃金(総収入)引き上げの運動を継続させようとしていること、この運動の実現により、デフレ脱却の道筋をつけようとしていることがあげられる。①賃金構造維持分を確保し、是正・改善特に連合方針の「97年ピーク時までの復元」に合わせ、JAMとしては結成直後の2000年水準から2010年までの間で低下してしまった7,500円(300人未満組織の平均)を、5年を目途に復元させるために、初年度の要求として1,500円以上を要求することとした。
②賃金制度の確立と30歳・35歳ポイント水準の開示
③企業内最低賃金の協定
④生活防衛の視点から業績回復に応じた一時金水準の回復
今年こそ行動の年へ
機関紙JAM 2011年1月25日発行 第143号
今春季生活闘争で連合は、日本経済をデフレ循環から脱却させ、活力ある社会に転換するための「希望と安心の社会づくり」を掲げており、低下した賃金の復元を目指す2011年春季生活闘争は極めて重要な役割を担っている。2011年は春闘をはじめ、JAMとして取り組むべき重要な課題が数多くあるが、課題に果敢に取り組む行動がなければ何事も前に進まない。現在の日本経済の最大の課題はデフレからの脱却だ。デフレに陥っている最大の要因は賃金が下がり続けていることである。すでに日本の企業収益は1970年代以降の平均を超えるところまできている。経済成長の果実について、企業部門から家計部門へ適正に配分すべき段階であり、それを担うのが2011年春季生活闘争だ。
今年4月には統一地方選挙が実施される。情勢は厳しいものの、組合員や家族の生活に身近な課題を扱う地方議会に、私たちの代表を送ることの重要性は、いつになく高まっている。津田やたろうの再選を勝ち取った力を再度結集し、統一地方選挙で全組合員が行動することにより、擁立候補全員の当選を目指そう。
技術・技能の伝承のための国レベルの政策も極めて重要な課題となっている。2009年度で廃止された「熟練技能人材登録・活用事業」が、2011年度予算では規模は大幅に縮小されたものの、各業界の自主的な支援事業として復活する見通しとなった。金属産業においては産業別労働組合としてJAMが、この事業を推進して行くことを決断した。津田事務所をはじめ関係各方面と連携を取りながら、「ものづくり立国」推進に向けて大きな役割を果たしてゆく決意である。
JAMはこれまで決めたこと、決まったことが単組に伝わり、実践され、結果を出すことを運動として追求してきた。さらに行動力を高め、敢然と諸課題に挑戦して行こう。
2011春闘 賃金水準を復元
機関紙JAM 2011年1月1日発行 第142号
新年あけましておめでとうございます。
日本経済は、世界金融危機後の急激な生産の縮小から漸く立ち直り、企業業績も大手企業では顕著に改善しています。そうした下で戦われた昨年の参議院選挙において、JAMの全組織が一丸となった取り組みで津田やたろうの再選を果たすことができました。改めてご支援いただいた組合員やご家族の皆様に感謝申し上げます。
残念ながら参議院で民主党は過半数を失い厳しい国会運営を強いられていますが、国際問題を含め一層のリーダーシップの発揮が求められます。
今一度政権交代の原点を確認し、国民の負託に応える生活の安定と安心につながる着実な政策実現を期待しているところです。
また雇用・労働政策に関しては、ILOの求める政労使三者構成の枠組みで決定されなければならないことも、改めて確認する必要を感じております。
昨年8月、JAMは政府・与党の代表にもご臨席いただき、結成10周年のレセプションを開催することができました。これからの10年に向けた新たな決意の下でスタートしたところです。
2011年春季生活闘争では生活の向上と長引くデフレ経済からの脱却を目指し、中期的な計画に基づいて賃金水準の復元に取り組みます。
先進国で賃金が下がり続けているのは日本だけで、特に300人未満の中小企業の賃金低下に歯止めが掛かっていません。勤労者の7割以上を占める中小労働者の賃金を底上げして消費の拡大につなげることが重要です。
ある民間機関の調査では大学新卒者の求人倍率が大企業では0.5程度なのに対し、中小企業では4倍以上になっています。賃金を含めた労働条件の改善がなければ中小企業の人材確保もままなりません。人材の確保による技能・技術の伝承は変わることのない課題です。政府の新成長戦略に基づく産業構造ビジョンでは、産業構造転換や国際展開を謳っていますが、それも国内に確固とした製造基盤が維持されていることが前提になっています。
今年4月には統一地方選挙も控えています。難問が山積している中ですが、JAMの総合力を如何なく発揮し、着実な足取りで前進して行きましょう。
今年も変わらぬ皆様のご協力をお願いし、新年のあいさつといたします。
①賃金構造維持分をきっちり確保し、その上でここ数年間に一部労働条件の切り下げを行った場合はその是正・改善への要求さらに、割増率引き上げ・年休取得の推進を中心とした労働時間関係、直雇用の非正規労働者への賃金・安全・育児・介護などの雇用環境の改善、高齢者雇用に関しての協定締結なども取り組み課題としている。また、継続課題としてのメンタルヘルス対策の強化、税制適格年金廃止に向けた企業年金制度の整備なども取り組むことにしている。
②賃金制度確立に向けた取り組み
③企業内最低賃金協定の締結拡大と水準の引き上げ
④企業業績の改善に応じた一時金水準の回復
―の四点を取り組みの柱としている。
①常用雇用以外の登録型派遣の原則禁止(専門26業務などを禁止の例外)、
②常用雇用を除く製造業務派遣の禁止、
③違法派遣の場合の雇用契約申込みみなし制度創設、
④いわゆるマージン率の情報公開や派遣労働者への派遣料金明示、法律の名称・目的への派遣労働者保護の明記などである。
①メンタルヘルス対策の強化― を掲げている。また同時に、これまでの継続課題としての
②企業内労災付加給付の引き上げ
③時間外割増率の引き上げ
④年休取得促進運動の強化および労働時間短縮指針に基づく取り組み
①育児・介護休業法、次世代育成支援対策の推進― を重点課題としている。
②非正規労働者に対する何らかの処遇改善、種々の均等待遇の推進
③税制適格年金制度廃止に向けた取り組み
④裁判員制度にかかる特別休暇の確立
最賃協定 締結・水準アップを
機関紙JAM 2010年5月25日発行 第134号
津田やたろうを再び国会へ
機関紙JAM 2010年4月25日発行 第133号
2010春闘 最低、構造維持分確保を
機関紙JAM 2010年3月25日発行 第132号
2010年春季生活闘争は、統一回答指定日を経過し大手労組を中心に回答を引き出したことから、中小労組を含めて多くの単組でも本格的な交渉が展開されている。特に賃金制度が確立されていない単組では、JAMの賃金全数調査から算出した賃金構造維持相当分である4,500円以上の確保にむけて最大限の取り組みを進めなければならない。
政府が3月15日に発表した今年3月の月例経済報告では、わが国の景気は「着実に持ち直してきている」との表現を盛り込み、基調判断を八カ月ぶりに上方修正した。
しかし、1月の失業率は4.9%と高水準で推移し、3月に卒業予定の高校生や大学生の就職内定率は8割程度と過去最低の水準となっている。加えて、JAM加盟組合を対象にJAM本部が実施している雇用動向調査では、教育訓練を含む一時休業の提案件数は2008年1月をピークに減少傾向となっているが、2010年1月段階の一時休業(教育訓練を含む)を実施した単組は約500組合を数えていることをみても、中小や内需中心の企業では経済指標が示すような回復感はまだ感じられない。
また、企業物価指数は原料価格が上昇し続けている一方で、消費者物価のデフレ状態が続いていることから、川上の物価上昇を最終価格に転嫁できない状況になっている。
今次春季生活闘争では、組合員ではない非正規労働者に対しても処遇改善などの取り組みを求めている。各単組での社会・労働保険の加入状況点検の実施や、企業内最低賃金協定締結の拡大などの具体的な取り組みを展開することが、賃金を今以上低下させないことと、労働者全体の処遇改善をはかることにより、労働分配率の回復につながっていく。
以上のことをふまえ、3月段階の取り組みでは、最低でも賃金構造維持分を確保するとともに、賃金改善を求める単組においては、要求の考え方に沿って最大限の努力をはかる。また、一時金については年間4カ月以上の確保をめざすこととしている。加えて、時間外割増率の引き上げ、総実労働時間の短縮、企業内最低賃金協定など非正規労働者の処遇改善につながる何らかの具体的な前進をはかることとしている。
わが国のものづくり企業は今なお強い現場力を有している。日本企業の根幹的な競争力は現場の強さにこそあり、その現場力を持続させていくためは「人への投資」が不可欠な条件であることは言うまでもない。それがなされてはじめて中小ものづくり企業は21世紀モデルへとバージョンアップできるのではないか。
賃金構造維持分確保し、景気の底割れ阻止
機関紙JAM 2010年2月25日発行 第131号
①賃金構造維持分の確保。特に賃金構造維持分の確保は、個人個人が一歳年上の先輩たちの賃金に追いつくことであり、理論的(労務構成が一定であること)には総額人件費の増加にはならない。それはまた、1年間の技能・技術の向上に対する正当な処遇としての労働条件の根幹であると同時に、長年に亘り社員と約束してきたことである。それを反故にすることは許されない。
②企業内最低賃金の協定。
③時間外割増率の引き上げ。
④賃金制度の確立と30歳・35歳ポイント水準の開示。
⑤年休取得運動の推進。
2010春闘 まず要求すること
機関紙JAM 2010年1月25日発行 第130号
2008年末から厳しい経済環境が継続しているが、昨年の総選挙で民主党が圧勝して悲願の政権交代が実現した中で2010年春季生活闘争が取り組まれる。 連合方針では
①景気回復、雇用の安定創出という政策・制度の実現とJAMは、現在わが国の機械・金属産業、とくに中小企業の置かれた厳しい経営環境を踏まえ、雇用を守ることと、これまで築いてきた共闘体制をさらに強化して、消費支出の低下やデフレの原因ともなっている賃金水準の低下を阻止することを最優先に取り組みを進める。各職場で賃金の実態を把握し、その実態を労使で確認すること、さらに賃金制度の確立に向けて協議を行い、手順や方向性を確認することが重要だ。
②生活防衛を図るための賃金水準の維持を車の両輪として取り組むとしている。
津田やたろう 必勝
機関紙JAM 2010年1月1日発行 第129号
新年あけましておめでとうございます。 一昨年のリーマンショック以来、未曾有の経済不況が継続していますが、先の総選挙で民主党が圧勝し、待望の政権交代が実現しました。政策形成プロセスの抜本的改革が行われており、連合が提唱する「労働を中心とした福祉型社会」への可能性が大きく開かれた政治情勢の下で、新しい年を迎えています。新政権と連合の間では各種の意見交換の場が新たに設定され、連合の掲げる政策・制度実現のための協議が進んでいきます。JAMは本部内に産業政策プロジェクトを立ち上げ、機械金属産業や各業種が抱える課題を政策にまとめ、関係省庁に要請してその実現に努めます。
今年は企業業績も雇用情勢も大変厳しい中で春季生活闘争を闘うことになります。生活を守り、内需の中心をなす個人消費を底支えするために、JAMは賃金実態の把握と賃金制度の確立を基本に、賃金水準を下げないこと(賃金構造の維持)を最重点に取り組みます。政権交代を契機として新政権に政策・制度として求めることと労使交渉による賃金構造の維持を車の両輪として、社会的な役割を積極的に果たしていく決意です。各企業の経営実態を把握しながら雇用の確保にも全力を尽くします。まず要求を出す。要求を出さなければ何も始まりません。交渉を通じての労使の信頼関係の構築が厳しい環境に対応する力となります。JAMは本部・地方・地協が一体となる取り組みを進めます。
今年七月には参議院選挙が実施されます。この選挙は非常に重要です。これまでJAMの政策実現に大きな役割を果たしてきた「津田やたろう」を必ず当選させねばなりません。やたろう選挙は名前を書いてもらう選挙です。それだけに「組合員と家族の協力」が当選の必須条件です。やたろう再選に向けた強力な取り組みをお願い致します。
課題は山積していますがJAMの持てる力を存分に発揮し、一歩一歩着実に前進していきましょう。今年も変わらぬ皆様のご協力をお願いし、新年のあいさつといたします。
〝賃金を下げない〟
機関紙JAM 2009年11月25日発行 第128号
日本の景気は9月には回復局面に入ったと内閣府は発表した。ただし、雇用および所得は好転しておらず、回復感は乏しいとしている。こうした取り巻く環境下で、いま連合を始めとする各労働団体は、2010年春季闘争方針を起草している。
その中で共通しているのは2002年から始まった「いざなぎ景気」を超えたと言われている2002年から2007年10月までの69カ月にもおよぶ景気拡大期間に、大企業を中心に過去最高業績を更新する企業が続出したにもかかわらず、家計部門には適正な配分がなされず、10年前から比較すると賃金は7%以上も低下していることである。
そのため、これ以上の賃金水準低下に歯止めをかける取り組みを強化しようとしている。
JAMとしてもこの考え方を基に、賃金構造維持分の確保を基本的スタンスにしている。
さらにJAMでは、構成組合の約700超の単組にしか確立されていない「賃金制度・賃金体系」を確実に増やす取り組みを強化することとしている。制度確立は単に水準低下に歯止めをかけるだけではなく、在籍している社員・組合員にとっても自分の将来設計にあたっての賃金の見通しが立てられることであり、モチベーションアップにも通ずるものと確信している。賃金制度が無くとも各単組はまず組合員の賃金実態をアンケートなどを通じて把握することから始めなくてはならない。
もうひとつは、時間外割増率の引き上げへの取り組みである。来年4月には労働基準法が改正施行される。しかし、その対象に中小企業は含まれていない。長時間労働を抑制し、ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、企業規模によって取り扱いに差をつけるべきではない。したがって全ての単組が45時間超の時間外労働割増について、25%を超える引き上げへと労使に努力義務が課せられていることを踏まえ、そのための取り組みをJAMも強化していく。
新政権に期待
機関紙JAM 2009年10月25日発行 第127号
国民の意思は、民主党による新しい政権を選択した。9月16日に誕生した鳩山新政権は、「日本が明治以来続けてきた政治と行政のシステムを転換する」「利権政治と、それを支えてきた官僚依存の政治システムからの脱却を目指す。国民主導により、国民一人ひとりが豊かさを実感できる政策を行う『国民主権』の国家へと転換していく」としている。
世界経済は歪んだ金融経済から公正で秩序ある新しいグローバル経済への転換が求められ、世界の政治バランスも米国一極集中から多極化の時代に変わろうとしている。世界が次の時代に向かう大転換期にある。この大きな歴史の流れのなかで、日本国民も一票の力によって、これまでの政治のあり方を変えたのである。
私たちは、新政権に大きな期待を抱いている。しかし、政治や社会の仕組みを変える歴史的事業は、一朝一夕で出来る訳もない。目前の来年度予算編成で民主党のマニフェストがすべて実現できるはずもなく、新政権による本格的な予算編成は再来年になる。とはいえ、密室ではなく、国民に見える政治が一つひとつ実行されていくことを期待したい。
JAMの多くの職場では、大幅な仕事量の減少によって、厳しい環境に直面している。さらに将来を考えれば、自動車産業が「脱ガソリン」への変革に向かうならば、日本の産業構造の変化も必至である。同時に、市場は絶えず国際競争にさらされ続けている。
JAMは、雇用を守るために、政府に雇用調整助成金の更なる要件緩和や、需要創出策などを求めてきた。また、ものづくり産業が変化に対応しながら、蓄積された技術技能を継承させ、付加価値を生み出す産業として発展させていくための政策を「ものづくり進化論」として提起してきた。JAMとしてこれらの政策をさらに精査し、新政権のなかで実現していく取り組みを強めていく。
そして、来年の津田やたろうの勝利によって、政権の安定と政策実現を果たす。
津田やたろう再選へ
機関紙JAM 2009年9月25日発行 第126号
昨年9月のリーマン・ブラザースの経営破綻を機に、国際金融資本によるマネーゲームに振り回された新自由経済が終焉し、雇用と労働と大切にする実体経済による新しいグローバル時代に向かう新たな時代に入った。
JAMは、第11回定期大会において「2010・2011年運動方針」とJAMの中期的運動の基調となる「JAMこれからの10年に向かって」を確認した。JAMは、ものづくり産業の労働組合として、自らの技能や技術に誇りをもち、労働の尊厳が確立された職場で活き活きと働き、安心して生活できる時代を切り開いていくための活動を推進する。加えて、労働運動の取り組みの成果を社会全体に反映させ、より良い社会をつくっていく活動を推進していかなければならない。
しかし、課題は山積している。私たちの職場では、製造業における技術・技能の伝承が危惧されている。また、自動車関連や電機関連などでは需要の回復がみえてきたとはいえ、設備投資関連や住宅関連を中心に、雇用調整助成金制度や中小企業緊急雇用安定助成金制度の活用による臨時休業などで、雇用を維持している企業が多く存在している。
地場中小の製造業や専業メーカーなどを健全かつ堅実に発展させるためには、公正な取り引きルールの確立と、新たな需要が見込める分野への挑戦を支援するための制度が不可欠な課題である。そのためには、ものづくり産業の強化・発展はもとより、雇用の安定と「仕事と生活が調和する生活」を守るためのワーク・ライフ・バランスの確立、さらには少子化改善にむけた男女共同参画社会の構築などのワークルールの確立にむけて製造現場と同じ目線に立って国会で活動する「津田やたろう」組織内参議院議員や「田中けいしゅう」組織内衆議院議員との連携が不可欠である。
中小労組への支援や地協活動における運動の活性化を目的として、2007年10月より地方JAMを再編して2年が経過した。各地方JAMでは地方組織再編の趣旨をふまえ、創意・工夫した活動が展開されているが、どのような優れた方針を決定しても、単組に伝わり、実践され、結果が出なければJAMの運動は広がらない。地協役員と地方JAM専従者が協力して、全単組参加による活動を充実していくことが重要である。
私たちは、JAMの政策実現に大きな役割を果たしてきた「津田やたろう」組織内候補を次期参議院議員選挙において必ず再選させ、私たちの職場で起こっている声を国政の場に反映させなければならない。
これからの10年に一層の先進を
機関紙JAM 2009年8月25日発行 第125号
JAMは結成以来、労働組合の社会的責任を十全に果たしていく観点から、積極的な活動を積み重ね、①組織強化・発展、②雇用対策強化、③政策制度推進(津田参議院議員誕生)、④中小ものづくり政策推進、⑤賃金実態の把握と開示など、多くの成果生み出しました。この10年の到達点を踏まえながら、残された多くの課題と併せて、これからの10年に向けてなお一層の前進を図って行きましょう。
わが国のものづくりを支えているのは中小企業です。ものづくりの現場では数字に表れない経営資源の評価が重要です。強い競争力の原点は働くものを大事にする経営で有り、ゆるぎない労使の信頼関係なのです。技能の伝承を含め、職場環境の改善を進めていきます。
09春闘では、連合として五つの「共闘連絡会議」を立ち上げたことなど、評価するべき成果がありました。2010年春闘の賃金交渉を巡る環境は、きわめて厳しいものが想定されますが、賃金を下げないために構造維持分の確保を目指すとともに、労働時間の短縮も大きな課題です。
新しい地方JAMの取り組みも前進しています。地協議長、事務局長と地方JAM専従者が協力して、決まった方針が単組に伝わり、実践され、結果が出せる、全単組参加による活動を充実していくことが重要です。
自公政権の悪政を断ち、「労働を中心とする福祉型社会」を実現するためには、政権交代が実現した場合、連合が掲げる雇用・労働政策などの全体的な課題や各産業ごと政策を力強く推進し、実現していく態勢を整えなければなりません。
2010年の参議院選挙は、①これまでJAMの政策実現に大きな役割を果たしてきた「津田やたろう」を必ず当選させること、②参議院での過半数を制し、民主党を中心とした安定政権の基盤を固めることの2点で重要な選挙になります。
厳しい環境下ではありますが、JAMが一丸となって進んで行くことをお願いし、あいさつといたします。
衆議院総選挙 行動しよう、投票に行こう
機関紙JAM 2009年7月25日発行 第124号
組織の総力挙げ 熱い取り組みを
機関紙JAM 2009年6月25日発行 第123号
新しい時代の夜明けがはじまる。100年以上におよぶ官僚主導、官僚依存の政治を変革し、この10年にわたって格差と貧困をもたらした小泉・竹中の新自由主義路線に終止符を打ち、われわれがめざす「労働を中心とした福祉型社会」への転換を切り開く最大のチャンスがやってきた。目前に迫った衆議院総選挙は日本の歴史の上で、重要なターニングポイントとなる闘いとなる。歴史的な闘いに勝利し、われわれの悲願ともいうべき政権交代を何としてでも実現せねばならない。
JAMは第15回中央委員会において今次総選挙を「政権交代実現の最大のチャンス」と位置づけ、労働の規制緩和を推進し、勤労者狙い撃ちの増税政策を打ち、社会保障の改悪と負担増をすすめてきた自民党政治(自公政権)を打ち倒し、民主党の単独過半数獲得による生活者・勤労者の声を反映する政権を実現するためJAMの全単組が行動を起こしていく方針を確立した。組織内・田中けいしゅうと準組織内・つつい信隆の完全勝利はもとより、全国300近い選挙区でのJAM推薦候補者全員の勝利と比例選挙での民主党勝利のため、全地方JAM、全単組が組合員に「民主党支援」の組織の姿勢を従来以上にアピールし、組織活動を確実に展開することにより組合員の行動に結びつけていくことが求められる。
闘いの勝敗は組合員の行動とそれを力として結集させられるか否かにかかっている。日本の国のあり方を変える「特別な闘い」である。全単組がこれまでの取り組みから一歩も二歩も前進した活動を展開していくことを強くお願いしたい。
さらに、この取り組みと闘いの結果は、JAMが組織の命運をかけている「2010年政策実現活動・津田やたろうの取り組み」にも大きな影響を与えることは必至である。必ず勝たなければならない。2009年夏、組織の総力を挙げた熱い取り組みを展開し、歴史的な瞬間を共に迎えよう。
本格的な景気回復へ
機関紙JAM 2009年5月25日発行 第122号
過日、新聞で子供の就職活動に心配した親が、子供の就職説明会に参加したり就職支援コーナーへ一緒に相談に訪れるケースが増えているという記事を読んだ。
加えて内定先から就職企業を絞り込むときに親にゆだねる子供も増えているという。自分の人生なんだから自分で切り開いていかせるべき。過保護な親もいるものだ。という見方もあるが、内定取り消しや派遣切りから、雇用不安が社会問題化している今日の不況下と雇用環境の急激な悪化を考えれば親として不安になるのは当然と思える。十年近く前になるが、職場の管理職や組合員から「うちの子供と求人状況や企業訪問についてどんな風になっているのか、話してもはっきりしない。部屋に引き篭ったままでどうしたら良いんだろう」と相談を受けたことがある。当時、企業は三つの過剰といわれた雇用・設備・負債の解消に躍起となって多くの企業が事業リストラを提案、その対応交渉に終始していたことを思い出した。
ここにきて、景気の最悪期は脱しつつあるとの見方が広がっている。「偽りの夜明けと本格的な回復を見誤らない注意が必要」との日銀総裁のコメントもある。試算によれば今後一層の失業率の上昇が懸念され環境問題を含めた最適地生産拠点への展開など新たな課題もある。労働組合としてどのような経営環境にあっても雇用維持を最優先とする取り組みの強化をしていかなければならない。加えて雇用機会のある分野と厳しい分野との産業間、地域間のバラツキが大きい中で新たな分野での就職や職種転換を円滑に進めていく政策の実現が必要だ。政府は十五兆円規模の補正予算を出し、民主党も21兆円規模の緊急経済対策を発表した。国会での論戦に期待したいがスピードの遅さにあきれ返る。
景気の山は2007年10月。既に下降局面は19カ月に及んでいることになる。民主党の新しい党首も決まった。総選挙で政権交代を実現することが将来不安を解消し、本格的な景気回復に繋がると確信している。
機関紙JAM 2009年4月25日発行 第121号
①生活関連公共設備の保全・管理の緊急措置と長期計画の義務付けと安定実施いずれも加盟組合や職場のニーズから沸きあがった、ものづくりを支援し、雇用環境の改善につながる喫緊の課題ばかりである。我われJAMの意を汲み民主党がその実現に向けて邁進することを確信している。
②公共関連施設の耐震化の実施と住宅建設促進
③環境技術を活かしたシステムづくり、新たな雇用創出と環境立国と技術立国の両立実現
④新車への買い替え促進
「100年に1度」の経済危機に多くの勤労者が喘いでいる。国民の購買力を高め個人消費を拡大し内需主導経済に変革する政策転換こそが雇用の拡大と景気の回復を実現し経済危機を突破する最も確実な道筋である。小泉―竹中路線を踏襲する今の自公政権に政策転換は望めない。半年以内には必ず実施される総選挙で民主党政権を実現させ、2010年参議院選挙で津田やたろうの再選を勝ち取る、このことがJAMの政策・制度要求の取り組みを飛躍的に前進させ、ひいては多くの勤労者の望む政策転換を実現する最大の決め手となるであろう。
2009年春闘 基準達成へ取り組み強化を
機関紙JAM 2009年3月25日発行 第120号
賃上げが第一の景気対策
機関紙JAM 2009年2月25日発行 第119号
連合、そして金属労協に結集する各産別、単組の要求提出日も過ぎ、09春闘は労使交渉の段階に入る。
労働組合は、急角度で落ち込んだ景気の回復には、「賃上げこそ景気対策の第一の柱である」との立場で、実質生活の維持・確保を基本に、「賃金カーブ維持分を確保したうえで、消費者物価上昇に見合うベアに取り組む」方針で臨む。
100年に一度といわれる世界的な金融不安による世界同時不況と円高が日本経済に巨大な津波となって襲いかかり、製造業を中心に業績の大幅な下方修正や赤字転落、雇用調整の発表が相次いでいる。JAMの調査でも、急激な需要の落ち込みで膨らんだ在庫の調整や受注の激減により一時休業等雇用調整助成金の申請件数が今年に入って急増している。
今年の半ば頃には在庫水準も適正化して後半には生産を軌道に乗せるという市場調査予測もあるが、操業短縮に伴う雇用・賃金面の悪化が消費をさらに冷え込ませることが懸念される。
戦後最長といわれる景気拡大の恩恵が配当や内部留保に回って賃金が増えなかったことが内需の柱である個人消費を弱め、外需・輸出に拍車をかけた要因だ。放置すれば、また消費の減少につながり日本経済は負のスパイラルとなって再び悪循環に陥る危険性がある。
労使交渉は難航が予想されるが、企業の財政状態や経営状況をみる貸借対照表、損益計算書等から問題点を把握することも必要だ。あるはずの内部留保・キャッシュは姿を変えていることもある。新工場や設備、企業買収・M&A、事業展開や再編、自社株買いなどの施策や決断、時期等は適切であったかなど。
そのうえで、企業の立ち位置や数年後の市場動向を見通して、環境が一変したときのために必要な手をいま打つことが重要。その中心にものづくりを支える人への投資を位置づけることが必要だ。怠れば自動車・原子力産業等アメリカの国を支えてきた製造業の轍を踏むことにもなる。交渉環境は厳しいが緊張ある労使交渉を積み上げ一致点を見つけてもらい。
2009春闘を三つの柱で闘う
機関紙JAM 2009年1月25日発行 第118号
JAMは今春闘にあたり①賃上げを内需に結びつける②中小企業対策や雇用問題を中心に政策・制度を通じて政治の場での要求実現を目指す③雇用対策を本部と地方JAMが一体となって進める、を三つの柱として2009春季生活闘争を推進します。
一つ目の柱は、「賃金要求を積極的に行って経済の好循環を作り出す」ことです。
現下の最も重要な課題は内需の拡大、とりわけ個人消費の拡大です。JAMは連合中小共闘の中心産別としても役割を果たしており、要求は連合やJCの考え方を基に生活防衛の観点から、物価上昇を加味した内容となっています。
要求の基本は、月例賃金について、消費者物価上昇に各種是正分を加えた、4,500円以上のベースアップとします。個別賃金要求を①標準労働者②JAM一人前ミニマムについて設定し、構造維持分が把握できない単組は平均9,000円以上とし、物価上昇による目減り分はベアに含めて要求します。
総ての単組は要求を必ず出して下さい。要求を出さなければ何も始まりません。JAMは自動車産業や電機産業に関係する業種が多くあり、自動車総連や電機連合とも連携して賃金の引き上げを行い、買換え需要などに繋げていくべきだと思います。日本経済の着実な回復のため生活の維持と向上を通じて、消費不況を回避し内需の底支えを行い、景気回復に結びつける好循環こそがグローバル・リセッションを回避する唯一の道です。
二つ目の柱は、「政策・制度の要求」です。
連合と連携してJAMの重点項目に取り組みます。
- 非正規労働者に対する「不適切な中途解約への厳正な指導、住宅支援の一層の強化」「非正規労働者の休業等への雇用調整助成金の適用」など
- 雇用・生活対策の強化として雇用調整助成金の改善など
- 雇用保険の拡充
- 中小企業の資金繰り対策の強化
- 労働者派遣法については、均等待遇、直接みなし規定等の従来方針に加え、自分の仕事に誇りが持てるよう労働の質を上げるには今の制度では問題があり、物の製造業務への派遣禁止を含む抜本改正を求める。
- 橋梁・道路・学校など公共インフラの安全性確保、良質な住宅建設・改築の促進、新規農業従事者への支援強化等による食糧自給率の向上を始めとする、需要拡大に向けた良質な公共投資の促進など。これらについて国会対策など強力に推進して行きたいと思っています。
三つ目の柱は「雇用対策」です。
今後、雇用情勢の悪化が懸念されることからJAMとして雇用対策本部を設置しました。地方JAMと本部が一体となって雇用確保のため、一時休業に対する雇用調整助成金の積極的な活用など雇用対策を進めていきます。また特に非正規労働者に対しては、各単組で「相談窓口となる」「法令順守の徹底」「雇用打ち切りも止むを得ない場合でも生活、住居、再就職」などについて協議していくこととします。
要求し、交渉し、力へ --2009新年あいさつ--
機関紙JAM 2009年1月1日発行 第117号
あけましておめでとうございます。
アメリカのサブプライムローン問題に端を発した金融危機の中で、世界恐慌を回避するためG20による緊急金融サミットが開催され、各国の金融システムの安定化や内需拡大策などで協調行動をとることがが合意されました。世界の労働組合も労働サミットを開催し、社会的公正を実現する新しい国際システムの確立、労働市場の規制と雇用の安定および公正な労働基準の確立などについて、労働組合も論議に参加し役割を果たすことなどをサミット首脳らに要請し、連合も政府に同様の申し入れを行っています。
今年は景気が急速に後退している中で春季生活闘争を闘うことになります。個人消費を中心とした内需主導の経済成長に転換させるため、JAMは連合の一翼を担う組織として、国に政策・制度として求める他に、賃上げなど労働組合としての役割を積極的に果たしていく決意です。
JAMは85%が300人未満の中小を主体とした産業別労働組合です。単組の状況を把握しながら賃金の引き上げ、また雇用維持に全力を挙げます。まず要求を出す。要求を出さなければ何も始まりません。厳しい交渉が予想されますが、交渉を通じての労使の信頼関係の構築が厳しい環境に対応する力となります。JAMは本部と地方・単組が一体となった取り組みを進めます。
消えた年金、消された年金をはじめ、後期高齢者医療制度など失政のツケはすべて国民に回され、麻生首相は第二次補正予算は先送りにして失言を繰り返すばかりで、対応力の欠如は明白です。国民生活に必要な政策・制度であっても政権を取らなければ何も実現できません。政権交代に向けたご協力をお願いします。組織内の田中けいしゅう、つつい信隆の必勝が政権交代の第一歩です。また2010年の津田やたろうの再選に向けた活動へのご協力もよろしくお願いします。
今年はJAM結成10周年です。8月末の大会で記念式典を予定しています。新しい政権の下で十周年を迎えられるよう最大限の行動をしていきます。課題は山積していますがJAMの持てる力を存分に発揮し、一歩一歩着実に前進していきましょう。今年も変わらぬ皆様のご協力をお願いし、新年のあいさつといたします。
一歩前進も、中小は除外
機関紙JAM 2008年11月25日発行 第116号
割増賃金率の引き上げなどを義務付ける労働基準法の改正法案が、一部修正され今国会で成立しようとしている。
今回の改正の主な点は、①月60時間を超えた時間外労働の割増賃金率を50%以上とすること、②労使協定により有給休暇を時間単位で与えることができる新制度導入の二点である。
割増賃金率の引き上げは、政府案では月80時間超となっていたが、衆議院で60時間超に修正された。また施行日が2010年4月1日に修正された。
ただし、大きな問題点がある。中小企業(資本金三億円及び従業員300人以下の事業主)については、「当分の間、適用しない」としていることである。中小企業について一定期間の適用を猶予し、段階的に適用を拡大するのであれば理解できるが、期間を定めずに「当分の間」を適用除外するというのでは、最低労働条件を定める労働基準法の本来の趣旨に反するものであり、ダブルスタンダードになる。
今回の法改正の目的は、長時間労働の抑制である。長時間労働が常態化し、過労死やメンタルヘルス不調が社会問題となり、ワーク・ライフ・バランスの観点からも時間外労働の削減が課題となっている。
法定割増賃金率の引き上げは、当初の80時間超から60時間超に修正され、不十分ながらも一歩前進ではある。割増賃金率引き上げに向けた職場の労使交渉を前進させる効果も期待できる。
しかし、長時間労働は、すべての労働者の命や健康にかかわる問題である。中小企業で働く者の命や健康がないがしろにされるようなダブルスタンダードは許すことができない。
また中小企業の賃金は、大企業と比べて大きな格差があるが、労基法で時間外割増率にも差をつけることは、一層の格差拡大をもたらし、格差を固定化することになりかねない。
参議院での議論を期待する。JAMとしては、今後とも中小企業の適用除外をなくすよう強く主張していきたい。
内需中心への転換、加速を
機関紙JAM 2008年10月25日発行 第115号
アメリカの住宅バブル崩壊に端を発した「世界的な金融危機の出現、世界大恐慌、金融機関の破綻、各国株式の大暴落などのニュースが連日トップ見出しとして踊っている。
世界はこれまでにない深刻な状況に直面しているといえる。多くのアナリストの指摘や経済見通しで予想されていたこととはいいながら、これまでの世界同時景気拡大の状況から一転して世界同時不況の様相が鮮明となってきた。
原因はアメリカ発のサブプライムに端を発する信用不安の拡大。証券化商品として世界に分散した担保のない資産の不良債権処理問題の影響がどこまでどんなふうに及んでくるのか見極めがまったくつかないことへの不安が拡大した。そしてその問題の複雑さとスピードに対策が追いついていけないことがあげられている。
労働分配率を下げ、経営者、資本への配分を優先することによってできた行過ぎた分配の歪みが過剰なまでの資本を積み上げ、世界を瞬時に移動するマネーゲーム化した投機資金を生んだことが、資源高騰や様々な格差をつくり、今日的な状況を招いた。これまで私たちが指摘しつづけてきた金融を中心とする市場経済の原理を優先することの弊害であることは明らかだ。今後日本への影響が広がり金融機関からの融資態度など、様々な問題が現出してくることが十分予想される。日常的なチェック機能を強めていくことが重要だ。
そして、運動方針でも指摘したように、急激な環境変化に流されることなく、輸出中心の経済構造から個人消費に支えられた内需中心の経済成長への見直しやものづくりの競争力強化につながる投資への転換を加速していくことが必要だ。そのために労働組合はあらゆる場面で社会的な責任を果すインパクトを与えていかなければならない。
当面する労働協約の改訂と年末一時金に取り組む単組ではすでに、要求提出も終わり本格的な労使交渉の段階に入っている。交渉は極めて厳しくなることが予想される。交渉の経過を含め、来春闘につながる重要な取り組みでありしっかりとした成果につなげていこう。
総選挙目前、政治を国民の手に
参議院議員・津田やたろう
機関紙JAM 2008年9月25日発行 第114号
本年度定期大会におきまして、2010年参議院選挙で、JAMを代表し2期目の闘いをやれというご下命をいただきました。これまで、私はJAMの一員、組織人として、忠実に全力を尽くしてまいりました。そして、現在の活動ができるのは、JAM仲間の皆さんの声や支えがあっての事と感じ、心より感謝を申し上げたいと思います。今後も、国会とJAMの仲間の架け橋として、ものづくり中小の職場で働く仲間に政治を振り向かせるため、精一杯やり抜く決意です。
この4年間の議員活動で、痛感させられたことは、自民・公明両党が、行政権、衆議院の3分の2の議席を握っていること。どんなにいい法案を提出しても、政府や行政の問題を追及しても根本的な解決が難しいということです。
総選挙が間近に迫っています。55年以降、選挙による政権交代は細川政権の一度きりでした。いま、参議院では民主党が第1党となり、政権交代への特別なチャンスが目前にあります。JAMとして、ほんのしばらくの間、集中し、できる限りの行動を起こしていくことが、最優先課題ではないかと感じています。総選挙の結果が、その後、何年も、われわれの全ての取り組みに対し影響してくるからです。
行財政改革、地方分権、少子高齢化、年金・医療など、日本をどんな国にしていくのかという長期的なビジョンが必要な課題があります。また、ガソリン代・食料品の高騰、雇用問題など、緊急な課題も沢山抱えています。近いうちに、本当に何が必要か、何を選ぶのかといった国民の選択が求められることとなります。その時、働く仲間の視点に立ち、公正で安心・信頼のできる政治が必要です。
実行できなければ、責任を取る二大政党の流れの中で、無為無策・無責任、国民の生活をほったらかしの自民・公明両党に、しっかり「オトシマエ」を付けてもらう。そして、民主党に政権を任せていただきたい。私は、皆さんとともに、この特別な闘いに全力で取り組みます。われわれ、一人ひとりの行動で、このチャンスをつかみ、国民の手に政治を取り戻そうではありませんか。
明るい未来へ奮闘を
(第10定期大会河野和治会長あいさつ要旨)
機関紙JAM 2008年8月25日発行 第113号
昨年10月より、新たな活動基準に基づく新しいJAMがスタートした。各地方JAMの役員の皆さんの努力で、労働運動の原点である地域での助け合い、支え合いが着実に前進してきている。
09春闘の賃金引上げは、物価上昇で生活は厳しくなっており、企業が赤字でない限り、実質賃金確保の観点から、ベア要求を基本に取り組む。時間外割増率は、臨時国会において労基法改正が予定されていることも踏まえ、引き続き取り組んでいく。
多くの中小企業は原材料価格が高騰しても価格転嫁ができない。中小企業でも人材を確保や賃金改善ができるよう経営基盤の安定などの環境作りが必要だ。競争力の原点は働くものを大事にする信頼関係であり、技能の伝承を含めて、職場環境の改善を進めていく。
労働市場の一層の規制緩和を推し進めようとする動きが続いている。現在、労働者派遣法の見直し作業が進められているが、働く者の尊厳が脅かされ、脱法行為が横行する今の派遣法は当然見直されるべきだ。これ以上の労働市場の規制緩和は許されない。
昨年の参院選で民主党など野党が一院の多数を制した結果、「宙に浮いた年金記録」などの実態が明らかになった。政府は税金の使い道を明らかにせず、国民に負担を強いる増税を強行しようとしている。医療・教育など健康で文化的な最低限の生活を、すべての国民に保障するためにこそ、予算を配分・計上することを優先すべきである。
年内にも予想される総選挙で、何としても政権交代を実現し、政治を変えなければならない。本大会で私たちは再来年の参院選での「津田やたろう」擁立を確認する。「津田やたろう」再選に向けて、全国2100単組、38万人組合員全員が一つの目標に向かって行動し、結果を出していく取り組みをスタートさせていこう。
来年の結成10周年を、すべての働く者にとって明るい未来が展望できる状況の下で迎えることが出来るよう、これからの1年、全組合員の奮闘をお願いする。
マイエコバック利用を
機関紙JAM 2008年7月25日発行 第112号
洞爺湖サミットにおいて2050年までに温室効果ガスの排出量を半減させるという長期目標を「世界全体で共有する」ことが合意された。サミット議長国である日本の責任は重い。
「京都議定書」の約束で2008年~2012年に温室効果ガスを1990年比で年平均6%削減することが義務付けられているが、2006年度では、逆に6.4%増えており、達成には今後12.4%の削減が必要となる。排出権取引や環境税などの経済的手法の組み合わせを含め、最大のウエイトをもつ産業部門の削減を真剣にかつ慎重に検討していかねばならないが、産業部門に比べて削減が遅れている民生・家庭部門の対策も強化されねばならない。家庭部門においては国民の意識改革を促しながら、身近な取組を積み重ねでいく以外にない。
「地球温暖化対策」、「CO2削減」がグローバルでかつ国家的な課題に浮上している今、今年で10年目を迎える「連合エコライフ21」の運動を改めて見つめ直す良い機会である。「連合エコライフ21」は、組合員参加型の活動であり、誰もが自らの環境の中で取り組める国民運動である。JAMも2008年度の重点項目である①マイエコバッグ利用の促進 ②適正内温度(夏期は28℃、冬期20℃)設定の推進を中心に取り組みを行っている。とくに、7月~9月の3カ月間、「マイエコバッグ利用」推進キャンペーンを展開する。
労働組合は、組合員の生活と権利を守る基本的な活動に加え、「社会正義を追求する社会性のある団体」として、広く国民や世界の人々の暮らしと生存に目を向け、諸問題の解決に貢献をしていく役割がある。「環境」や「食糧」など暮らしと生存の根源に関わる課題に、労働組合として、JAMとして、学習と議論によりお互いの認識を共通化しながら、真摯な取り組みをすすめていきたいと思う。
09春闘へ
賃金と労働時間 実態把握と分析がカギ
機関紙JAM 2008年6月25日発行 第111号
JAMは第13回中央委員会で春季闘争総括並びに運動方針を補強する来年度の活動方針骨子を確認した。
春闘総括では連合全体として、内需拡大を目指した3年目の賃金改善の取り組みは、中小の健闘に牽引され、全体として一定の底上げを図ることが出来たと評価しながらも、結果としては「内需の縮小を食い止める」という程度に止まったとしている。マクロ的な分析は今後に委ねるとしても、日本経済を牽引した外需に国際的な金融不安・景気後退や過熱する原油原材料相場を背景とする下振れが強まったことは事実。内需拡大と中小企業対策は経済政策を含めた喫緊の課題だ。まして非正規問題の動向と併せて雇用労働者の70%を占める中小企業労働者の底上げが大きな要素となることは言うまでもない。今後に控えている最低賃金審議への影響力を発揮していくことが求められている。
活動面では新地方JAMにおける統一的な取り組みに創意工夫と成果がみられたこと、連合方針が柱とした総実労働時間の短縮や割増率引き上げでは、500を超える単組が要求。重点課題の割増率は49単組で具体的な成果を引き出したことは、今後の取り組みへ大きな弾みとなった。
活動面でのJAMの特徴はきめ細かい準備活動と継続した取り組みにある。
要求を提出することはその出発点。総括確認後、直ちに準備活動を開始することが成果に繋がると確信している。綿密な実態把握と分析に基づく要求を行った交渉とそうでない場合とでは、結果にも傾向的な差が生まれている。来年度は労働条件調査における労働時間に関する制度や実態把握を賃金なみに徹底したい。
実態調査に参加できない単組や、重要度の高いデータの把握が出来ていない単組については、個別指導を含め、互いに指摘し合いながらオープンにしていく情報公開活動と共有化を進めていく。その上で、労働時間関係法令に関する研修や、時間管理、年休取得推進などの先進事例、取り組みの苦労話など交流と理論構築を強めていこう。
現代版〝姥捨て山〟
機関紙JAM 2008年5月25日発行 第110号
4月から実施された後期高齢者医療制度は、周知の不徹底とともに、保険証が届かないとか、保険料の徴収ミスなどが重なり、大混乱となった。制度運用の実務上の問題にとどまらず、「後期高齢者医療制度」そのものが問題であり、まず制度を廃止し、その上で国民のための医療制度改革を進めるべきである。
後期高齢者医療制度とは、75歳以上のお年寄りを現行制度と切り離して、独立した保険制度として強制加入させるものである。これまで国民健康保険に加入していた人や、被扶養者となっていた人など約1,300万人が加入し、原則として自分で保険料を負担する。保険料の全国平均は年額約72,000円(月額6,000円)と試算されている。
問題は、命にかかわる医療制度を、年齢で線を引いて独立した制度としたことである。そして生活を支える年金から保険料が天引きされ、また、保険料を滞納したら保険証が取り上げられてしまう。さらにこの保険で受けられる医療が制限される。現代版〝姥捨て山〝と批判される所以である。制度廃止の署名活動にJAMも取り組んでいる。
この制度は、小泉政権のもと、2006年の通常国会で、自民・公明による強行採決によって成立した小泉改革の社会保障切り捨ての一つである。福田政権は、4月1日の制度開始時に、この制度を「長寿医療制度」という通称で呼ぶことを急遽決め、また、政府与党は、制度スタート早々に六月までの制度改定を検討している。
国民の怒りと批判に対して、小手先のゴマカシで対応することしかできないのが福田政権である。
弱き者にしわ寄せする小泉改革から国民のための改革へ転換するためには、政権交代しかありえない。衆議院山口2区の補欠選挙は、民主党の平岡秀夫氏が圧勝した。国民の政治判断は、昨年の参議院選挙で民主党を、今回の衆院補選でも民主党を選択した。衆議院の解散・総選挙へ向け、取り組みを強化しよう。
起源は8時間労働制の要求
機関紙JAM 2008年4月25日発行 第109号
第79回メーデーが行われる。メーデーは、1886年にアメリカの労働組合が5月1日に、シカゴを中心に8時間労働制を要求して起こったデモンストレーションが起源とされている。 日本においては、1920年(大正9年)5月2日に東京・上野公園で第1回メーデーが開催された。およそ15,000人の労働者が「8時間労働制の実施」「失業の防止」「最低賃金法の制定」を訴えて集結し、港区・芝の友愛会本部(JAM本部の所在する現・友愛会館)まで果敢なデモ行進を行ったとのことである。
創成期の労働運動は、過酷な長時間労働からの解放が最大のテーマであった。労働運動の先輩たちの血と汗の努力により、今日、法的には1日8時間労働、週40時間労働制が確立している。しかし、実態は、週60時間以上働く労働者が30代で4人に1人、月間50時間以上残業する労働者が30代で3人に1人という中堅層を中心とした長時間労働の跳梁跋扈である。
2008年春闘では、久々に労働時間短縮の取り組みが連合全体の重点方針として掲げられた。JAMも525単組が労働時間に関わる要求を提出、4月16日現在で103単組が前進回答をかちとっている。とくに、時間外割増率の引き上げについては、348単組が要求を提出、経営側の厳しい姿勢の中で44単組が回答を引き出している。回答に至らないまでも、多くの単組が、自らの労働時間の実態を見つめ直し、36協定の意義や労働時間管理体制の必要性を含め、働き方や労働時間に対する意識を高め、また交渉を通じて長時間労働の是正や年休取得の促進などワーク・ライフ・バランスに対する労使の共通認識を広げることが出来たのではないか。
2008春闘は、労使の喫緊の課題である、長時間労働是正の取り組みの端緒を切り開いたものといえる。
割増率の引き上げと36協定の遵守・労働時間管理の徹底など長時間労働の是正に向けて、継続的な取り組みをすすめていこう。労働運動の先輩たちの時短に注いだ熱い想いを継承しながら。
第79回メーデー万歳。
2008年春季生活闘争
賃金改善の流れを「ウネリ」へ
機関紙JAM 2008年3月25日発行 第108号
賃金改善と割増率引き上げ
機関紙JAM 2008年2月25日発行 第107号
要求提出日の2月19日、各単組は一斉に要求を提出し、回答引き出しに向けて本格的な春闘交渉を開始した。要求状況の第一回集計では、前年同期に比べ要求単組数、要求進捗率ともに大幅に増加しており、新しい地方JAMの下で積極的な取り組みが進んでいる。
私たちは賃金改善も時間外労働抑制のための割増率引き上げも求めている。 景気の先行き不安や燃料・原材料価格の高騰、コスト競争などを理由に、経営側からは賃上げ抑制の主張がなされている。こういう時こそ、労働側は躊躇なく、強く主張をし、要求獲得を実現しなければならない。
第一に、賃金の積極的な引き上げによって、低下し続ける労働分配率を反転させ、個人消費を増やし内需の拡大を確実に図ることが、勤労者の生活はもとより、輸出依存の日本経済や産業にとっても何より必要なことである。
第二に、原材料費などの高騰分が価格に転嫁できないばかりか、さらなる納入価格の引き下げ圧力がかけられるような取引実態がある。とくに中小企業では、労働者の賃金にしわ寄せされている。取引価格の引き上げ、公正な配分、取引関係の改善を社会的な課題としなければならない。
第三に、税や社会保険料などの負担増に加え、灯油や食料品を始めとする生活関連物資の物価が上昇しており、暮らしへの影響が現れている。
第四に、人材の問題である。人件費を単にコストとして削減し続けたことが人材の疲弊、ものづくり力の低下をもたらしているのではないかと懸念される。
人への投資が喫緊の課題であり、賃金改善、正規採用の拡大が実行されるべきである。
最後に、割増率の引き上げは、残業代引き上げを求めているのではなく、長時間労働を止めること求めているのである。言い換えれば生産性を高めるための要求である。割増率の引き上げの取り組みを長時間労働抑制のスタートとしなければならない。
賃金 労働時間 実態把握し、積極的要求を
機関紙JAM 2008年1月25日発行 第106号
新年早々からの株安、円高、原油高で日本経済と景気の成り行きに赤信号が点滅し始めた。1970年代前半以来の世界経済の好況を背景に外需依存型景気拡大を続けた日本経済もいよいよ本格的に個人消費、内需主導へのシフトが求められる状況となっている。
しかし低迷する勤労者家計と生活必需品物価の高騰の中で、個人消費の拡大など望むべくもない。2008春闘での賃金改善の取り組みは、家計を改善し、内需拡大の契機をつくりだす突破口でありまた最も確実な道筋である。
さらに、中長期的な日本の産業競争力を維持していくためには、ものづくり産業・企業を担う人材を確保し育てていく「人への投資」がもっと重要視されてよい。
とくに、ものづくり分野を広範かつ重層的に支える中小企業労働者への「投資」を深刻に考えねばならない。2000年以降低下した賃金の回復をめざした2006、2007春闘での賃金改善の取り組は着実な成果をあげてきたが、慢性的ともいえる中小企業の賃金低下傾向を食い止めるためには継続した賃金改善の取り組みが必要である。
自らの賃金実態を明らかにして、一人前ミニマムや標準労働者要求基準の到達をめざして賃金水準の維持と向上をはかる取り組みが求められる。
今年の春闘のもう一つの柱が時間短縮だ。週60時間以上働く労働者が30代で4人に1人、月間50時間以上残業する労働者が30代で3人に1人という中堅層を中心とした長時間労働蔓延の実態を放置してはならない。
ワークライフバランスと健康障害防止の面から長時間労働の是正は喫緊の課題である。「過労死」などという言葉は労働組合の矜持にかけて死語にしなければならない。
とくに、長時間労働是正の実効ある施策のひとつとして国際的にみてもきわめて低水準にある時間外労働割増率の引き上げが重要になる。
容易な取り組みではないが、要求しなければ何も変わらない。できる限り多くの組合がベクトルを合せ、足並みをそろえることで前進がはかれる。自らの労働時間の実態把握と点検・確認踏まえ積極的な要求づくりと要求提出を行っていこう。
衆院選、民主党政権で働く者の尊厳守れ
機関紙JAM 2008年1月1日発行 第105号
新しいJAMが昨年10月よりスタートしました。これからは決まった方針が地協を通して単組に伝わり、それが実践され結果を出すことで運動を広げていきます。地協では単組選出の役員の皆さんとJAMの専従者が協力し合うことが重要です。新しい活動基準に基づき①情報伝達②日常的な交流(人間関係の醸成)③地域での助け合い、支え合いなどを重視した運営を行い、専従者の置けない単組の世話役活動に力を注ぎます。
機関紙JAM 2007年11月25日発行 第104号
日本経済は懸念材料を抱えながらも緩やかな成長過程を辿っている。しかしながらグローバル化を背景とする企業競争が激化する中で市場原理や経営の論理の優先に歯止めが掛からない。景気回復と好調な企業業績、雇用情勢の改善が正社員の増加や雇用者所得の向上に結びついていない。雇用者所得と労働時間の二極化、過労死やメンタルヘルスなど多くの社会的な問題が拡大しマクロでみた労働分配率も低下し続けている。
髙木連合会長は、討論集会でこうした事態の打開に労働組合の役割を発揮することを強調し、春闘における労働組合の存在意義と社会的な責任を果たすインパクトを与えることの重要性を訴えた。連合は、2008年春闘の基本スタンスを、「生活の維持・向上をめざし、社会的な分配のあり方に労働組合として積極的に関与し、内需拡大などマクロ経済への影響力を発揮することにある」としている。
私たちはこのことに深く留意しながら春闘に取り組んでいく。課題は月例賃金を重視した賃金改善、ワークライフバランスの実現に向けた労働時間の短縮、国際的にみて低すぎる割増率の引き上げである。
JAMにおける賃金改善の取り組みは着実に成果をあげてきた。中小の賃金は慢性的な低下傾向におかれている。これに歯止めをかける取り組みを継続することが求められる。また、長時間労働の削減はJAM労働時間に関する指針を基に総実労働時間の短縮、割増率の引き上げに取り組むことである。
全ての単組が要求提出日に要求提出できるよう早い段階から準備を進めていくことが重要だ。特に賃金課題の分析と配分を含めた対応と労働時間の実態把握がポイント。36協定の締結当事者である労働組合は労働時間管理や労働時間のあり方について大きな責任を負っている。解決すべき問題点や是正課題を掘り起こす活動が具体的な成果に繋がると確信している。
新しいJAM、訪問活動を強化し実態把握へ
機関紙JAM 2007年10月25日発行 第103号
長時間・過重労働は、働く者の命の問題であり、健康の問題である。時間外・休日労働時間が月45時間を超えて長くなるほどに、脳・心臓疾患の発症が増加することが医学的に明らかにされている。いまだに仕事に起因する過労死やメンタルヘルス不調が後を絶たない。特に20歳・30歳代の男性に長時間労働が多く深刻である。昨年の年休取得率は46・6%(厚生労働省調査)に過ぎない。この長時間労働はワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を崩していく。
にもかかわらず、納期に追われ、少ない人数で仕事をこなさなければならず、一部の人や職場では月45時間を超える時間外労働の実態が多く存在する。
JAMの今年度運動方針の最優先課題の一つ目が、長時間・過重労働をなくすための年間総実労働時間の短縮である。
さて、各単組では一人平均の年間総実労働時間や組合員の最長の年間総実労働時間を把握できているだろうか。年間総実労働時間は、「年間所定労働時間」「年次有給休暇取得時間」「年間所定外労働時間」から計算する。
JAMの労働条件調査では、年間総実労働時間のデータは20%しか収集できていない。会社から年休取得日数、所定外労働時間の数値の報告を受けていなければ年間総実労働時間を算出できない。労働時間管理について、総ての組合での総点検が必要となる。
この10月から新しい地方JAMがスタートした。単組への訪問活動を強化する。JAMとして各単組の労働時間の実態を把握し、適切な対応をとらなければならない。命と健康を守り生活との調和を図るために、各単組とJAM、そして組合員、管理職、会社が連携して、長時間労働抑制に取り組むことが重要である。
機関紙JAM 2007年8月5日発行 第100号(増刊号)
2002年春闘で大手労組のベアゼロの回答の影響を受けて多くの中小では、賃上げがゼロ回答となった。
以降、大手・中堅労組での春闘は、体系維持分確保、賃金体系が確立されていない中小労組での春闘は賃上げゼロ回答が続くことになる。大手と中小の賃金格差は乖離する一方となる。
中小労組の賃金の低下を打破するために連合運動の一環として提唱したのが中小共闘の始まりである。
「賃金体系の無いところは、賃金体系を確保しよう。賃金体系が確立されていないところは、中小労組の賃金体系維持分相当4500円以上の確保を目指そう」と呼び掛けて04年中小春闘がスタートした。
現在、連合のなかで30産別4000単組が参加している。4500円以上を確保した単組は、05年27%、06年35%、07年37%(JAM単独では44%)と着実に成果を上げてきた。
この間JAMは中小共闘の牽引役としてその中心的な役割を担ってきてJAMの存在を内外に大きくアピールすることができた。
JAM結成して8年、明らかに中小労組が大同団結してできたJAM結成の成果である。
一方において06年春闘では、5年ぶりと言われたJC共闘で、大手労組を中心として本格的な参入を果たした。この春闘改革は、結果としてJAMの中小労組の賃上げに大きな影響を与えることになった。
中小共闘の現段階での真の狙いは、大手と中小の賃金格差を圧縮する運動ではない。これ以上の大手と中小の格差を拡大させてはならないという「賃金の底上げ闘争」である。このことを念頭において今後もJAMは中小共闘の牽引役を担っていきたい。
機関紙JAM 2007年7月25日発行 第99号
参院選の結果しだいで、「労働ビックバン」と称する雇用の不安定化と労働条件切り下げ政策がやって来る。
内閣府の下に置かれている「規制改革会議」(議長=草刈隆郎日本郵船㈱会長)の再チャレンジワーキンググループ労働タスクフォース(主査=福井秀夫政策研究大学院大学教授)が5月21日に発表した意見書は、労働法制の抜本的見直しの方向として、とんでもない暴論を書いている。彼らの主張の方向を解釈すると、①正社員の解雇規制を緩めて解雇をやりやすくすべき、②最低賃金は引き上げてはならない、③女性労働者の権利強化は良くない、④労働者派遣は規制を緩めて自由にすべき⑤公労使三者構成の審議会は労働者側の意見が入り過ぎるので止めるべき、ということになる。
また、内閣府の経済財政諮問会議でも労働市場改革専門調査会が設置されており、同じような方向の「労働ビックバン」の検討が進められようとしている。ただし、今は参院選を前に、国民の反発を招くようなことは議論しないようにしているのである。安倍政権は6月に閣議決定した「骨太方針」でも労働分野については、ワーク・ライフ・バランスの実現という抽象的な文言があるだけで、本格的な労働法制見直しについては参院選後に持ち越している。
すでに安倍政権は、社会的批判を浴びた残業代なしの日本版ホワイトカラーイグゼンプション制度導入を通常国会に提出した労基法改正案から削除し、これも参院選後に先送りした。財界や一部の学者は、ホワイトカラーイグゼンプション制度の導入を強く求めており、再登場するのは必至である。
つまり、この参院選で参議院の与野党逆転を実現すれば、長時間労働を促進するホワイトカラーイグゼンプション制度導入を止めることができる。参議院で与野党逆転を実現すれば、解雇をやりやすくする法改正をやめさせることができる。
参議院で与野党逆転を実現すれば、不安定雇用と低賃金を拡大する労働者派遣の自由化を阻止することができる。
逆に、この参院選で参議院の与野党逆転ができなければ、とんでもない格差社会、不安定社会がやって来ることになる。さあ、政治に無関心ではいられない。投票に行かないわけには行かない。投票に行こう!
機関紙JAM 2007年6月25日発行 第98号
自公政権は、通常国会の会期を12日間延長し、参議院選挙の投票日を7月29日に変更しました。
今国会で、自公与党は、憲法の改正手続きを定めた国民投票法案の強行成立、教育関連三法案やイラク特措法延長法案の強行採決、投票日の変更をともなう会期延長など、数の力よる強引な国会運営で議会制民主主義をないがしろにしています。
今回の会期延長は、「消えた年金」問題などによる自公政権に対する世論の批判を冷ますことが狙いとの指摘もあります。
1年前から民主党は「消えた年金」問題を徹底して追及してきました。2006年6月、「宙に浮いた」納付記録の存在を指摘し、質問。2006年12月、民主党が衆議院に「納付記録消滅等の予備的調査要請書」を提出。衆議院厚生労働委員会が調査を命令し、2002年2月の予備的調査報告書で「宙に浮いた」年金保険料納付記録5000万件以上が露呈しました。
民主党は、年金への信頼を回復するために、社会保険庁を解体する「歳入庁設置法案」、社会保険庁の不祥事・不適切処理を是正する「年金保険料流用禁止法案」、社会保険庁解体前に適正な年金支給を確保するために年金記録の全数調査を行う「消えた年金記録被害者救済法案」を国会に提出しています。
これに対して、自公政権の法案は、「消えた年金」の責任を逃げ切り、保険料を年金事務費等に流用する「日本年金機構法案」と、「納付記録の訂正」がなければ何ら救済にならない「時効特例法案」です。自公政権は、国民の生活に関わる「消えた年金」問題では無責任な対応をしていると言わざるをえません。
「消えた年金」問題を解決するには、参議院選挙で民主党を飛躍させ、民主党の政策を国政で実施させることが必要です。
機関紙JAM 2007年5月25日発行 第97号
格差や貧困が拡大し、過労死など過重労働に対する不安が高まっている中で、今通常国会では、働くルールに関する法案の審議が重要であった。
しかし、安倍自公政権は、働くルールに関する審議よりも、憲法改正の手続きを定めた「国民投票法」の成立を優先させ、慎重審議を求める世論を無視して強行した。しかも、同法の付帯決議は最低投票率制度の意義・是非の検討など18項目にわたり、「生煮え」の法律であることを露呈した。
通常の法律の改正手続きよりも厳格な手続きを必要とする硬性憲法である日本国憲法の改正手続きについて、「生煮え」の法律を強行した自公与党は、それだけでも指弾されなければならない。
また、今通常国会では、安倍自公政権は、社会保険庁を廃止・解体する「日本年金機構法案」と「国民年金事業等運営改善法案」の成立を急いでいる。政府案では消えた年金記録資料によって給付漏れとなっている人が救済されない。また、政府案には保険料の使途を給付に限定せずに事務費に充てることを恒久化する内容が含まれている。民主党は、保険料の使途を給付に限定するなどの「年金信頼回復3法案」を提出している。安倍自公政権は、社会保険庁の廃止・解体で給付漏れなどを糊塗し、公的年金に関する国の運営責任を後退させようとしている。
参議院選挙後、安倍自公政権は、サラリーマンの大増税になる所得税控除の見直しをやろうとしている。また、ホワイトカラーエグゼンプションなどの制度を求める経済界の動きも強まってくる。
私たちの暮らしが良くなる政治を実現するために、参議院選挙で比例区「とどろき利治」候補、選挙区民主党候補必勝の取り組みを強化しよう。
機関紙JAM 2007年4月25日発行 第96号
春闘で2年連続の賃金改善を実現し、統一地方選挙では私たちが推薦する働く者の代表を地方議会に送り出した。格差の拡大や過重労働に対する不安や危惧を解決するためには、労使の交渉とともに、選挙権を行使し政治の流れを変え、ワークルール、税制、年金、医療などについて私たちの政策を実現することである。
連合と民主党は昨年10月13日、「ともに生きる社会をつくる」宣言に調印し、「格差是正」と「安心・公正」社会の実現に向け、すみやかに政権交代をめざし、ともに手を携えていくことを宣言した。統一地方選挙では、民主党は道府県議選で205議席から375議席へと170議席の増加である。その増加数は自民党が失った議席数に見合っている。連合と民主党が協力し、組合員、家族が選挙権を行使し、7月の参議院選挙で政治の流れを変えることは可能である。
労働者派遣法改悪など労働法制の規制緩和で、格差や貧困が拡大し、大きな社会問題となり、今通常国会は「労働・雇用国会」になると言われてきた。しかし、安倍自公政権は、ワークルールに関する法案よりも、憲法改正の手続きを定める「国民投票法案」の成立を優先させ,憲法問題を参議院選挙の争点にしようとしている。与党の「国民投票法案」は、最低投票率が明記されていないなど問題点が指摘され、慎重審議が求められている法案である。
格差と貧困が拡大する今日、国民が一番求めているのは雇用の安定であり、生活の改善である。また、「ホワイトカラーエグゼプション」などの労働法制の規制緩和ではなく、長時間・過重労働をなくすワークルールの確立である。
春闘、統一地方選挙に引き続き、次のステップである参議院選挙で政権交代の流れを確実にしよう。