子供たちに ものづくりの楽しさや達成感を

       旋盤工の小説家・小関智弘さんが「手で考える」と題し記念講演

 「人間はすばらしい」という考えを基にしたものづくりが今後は必要と強調した
     
 
 JAMと日本教職員組合は、二月十六日に神奈川県川崎市で「シンポジウムU『ものづくり教育 川崎からの発信』」を共同で開いた。

 参加者は、ものづくりと学校教育の現場から、約二百人。「ものづくり教育」について、製造現場と学校教育現場で現状を相互に理解し、体験のバーチャル化・擬似化が進み「手でものをつくる」機会が減っている現代の子どもたちに、「ものづくり」に興味を持ってもらうための方途を探った。

 基調講演では、元旋盤工で小説家の小関智弘さんが「手で考える」と題し次のように話した。
 日本で機械化と大量生産が進んだ時、ものづくりの現場では、人間は「不平を言う、失敗する、怠ける」などマイナス要因と考えられた。「信用されていない人が、良い仕事はしない。「『人間はすばらしい』という考えを基にしたものづくりが今後は必要だ。

 パネルディスカッションでは、ものづくりの現場と学校教育の現場の現状について意見が交わされた。

 ものづくりの現場からは、セイコーエプソンの宮澤健一部長が「企業が求める『自分で考え、工夫し、行動できる』意欲ある人材が減っている」と語り、東京機械製作所の西村正喜部長は「若いときに、いかにものづくりに興味を持たせるか大切ではないか」と話した。

 学校教育の現場からは、技術・家庭科、図画工作の時間が減り、今年また指導要領が改定される。工業高校が総合化されて実習がなくなることが一番怖い。子どもたちにものづくりの楽しさや達成感をどう伝えればよいか模索していると現状が伝えられた。

 川崎市立・京町中学校の石橋真教諭は「今は手先の器用な子どもが活躍できる場が少なくなっている」と子どもの得意分野を発見しづらい現状を述べた後、「発見できる場が少なくなったと言わず、発見できる場を作ることが大切だ」と語った。 


 
 
 
 ものづくり現場と教育の現場から
 子供たちに「ものづくり」に興味を持ってもらうための方途を探った