引き続いてオーストラリア:ACTU、ニュージーランド:NZCTUおよび米国:AFL-CIOが提案した、それぞれ自国の政府に対する意見書を紹介する。特にACTUとAFL-CIOの資料はかなりの長文なので、冒頭に簡潔な解説を付す。
箇条書きで57項目にわたる意見書の中心は「投資」に関わる部分である。「TPPはオーストラリア国内において、国内投資家より大きな権利を外国投資家に与えてはならない(19項)」というのが基本的主張。因みに米豪FTAにはオーストラリア政府が反対したため「投資」に関する条項がない。「医療品給付制度(42-43項)」はTPPが政府による国内の福祉政策を後退させることを懸念した事例の典型である。
8月号で紹介したNZCTUのリーフレット「環太平洋経済提携協定 その懸念の理由」 と内容的に重複するが、今回の資料は労働組合としての声明。「TPPは貿易以外の事項を含んでいる。先に述べたような危険はないと保障されない限りTPPに反対である。」との主張は各国労組の最大公約数と言える。
掲載した目次から分かるように、非常に多岐に渡る意見書である。NAFTAなどの経験から自由貿易協定が雇用や国民生活に多大な影響を与えるとの認識が窺える。個別項目に関する見解は「雇用」と「投資」の部分のみ訳出したが、実はこの2項だけで意見書全体の約半分の分量を占めている中心的な論点である。「雇用」に関しては前出のACTU意見書が評価している米ペルーFTAの規定を、なお不十分として補強を求めている。また一部で評価されている現行TPP(P4)の労働に関する覚書は実効性が乏しく、新TPPの労働条項の模範となるべきではないと明言している。「投資」についても米ペルーFTAで浮上した問題点などを基に具体的な補強提案を行っている。
付記
* 資料翻訳は、明治大学労働教育メディア研究センター客員研究員・山崎精一氏による。
*「環太平洋経済提携協定に関するオーストラリア外務通商省への意見書」の原注および「提案されている環太平洋経済提携協定に関する意見書」の原注は原文からの翻訳。
* 訳注は月刊JAM編集部による。
(原注・訳注はマウスを乗せると表示される。または、文書末に掲載)