政策ニュース

2001年12月20日 第2002−21号

《発    行》  J  A  M

《発行責任者》 大山  勝也

《編     集》 社会政策局

TEL:03-3451-2586

mail:syakai@jam-union.or.jp

  

有期労働・裁量労働の安易な対象範囲の拡大を許さない!!

 

労働条件分科会に諮問

 

 厚生労働省は、総合規制改革会議等の意を受けて、(政策ニュースbP参照)大臣告示で示している有期労働契約の専門業務と専門業務型裁量労働制の対象業務拡大を、労働政策審議会労働条件部会に提起し、改正告示案を公表しました。

 

対象業務の範囲を拡大

 

 現在、有期労働契約の契約期間の上限は、原則1年までとされていますが、高度な専門的知識を有する労働者に関しては、例外として3年まで認められています。改正告示案では、この対象となる資格に、新たに税理士・中小企業診断士等を加えるとしています。

 また、専門業務型裁量労働制では対象となる業務にテレビゲーム用ソフトウエアの創作等8業務を追加しました。(詳細は下の表を参照)

  

安易な拡大には反対

 

 労働契約は本来「期間の定めのない契約」を原則とすべきです。今回の改正告示案は、従来の告示の枠組みを大きく踏み出し、法律が想定していた範囲を逸脱する内容が含まれています。

 裁量労働制の導入は「労働者が裁量権を持って働いていること」が大前提です。今回俎上にあがっている業務には、対象範囲が不明確なものが多々あります。

 現在、「自立的・創造的な働き方を求める労働者のニーズ…」「専門的な能力を十分発揮したいという労働者のニーズ…」等の言葉をよく耳にしますが、「ニーズ」というのは果たして誰の「ニーズ」なのでしょうか。この言葉を隠れ蓑にして、不安定雇用を増大させたり、「ただ働きの長時間労働」のための制度にならないように、私たちは安易な拡大には絶対反対していかなければなりません。

 労働条件分科会では、議論を行い、2002年1月23日の分科会で諮問に対する答申を行います。JAM・大山書記長はこの分科会の委員として活躍しています。また、厚生労働省では来年1月4日まで改正告示案に対する国民の意見を募集しています。現場の声をぜひ反映させてください。 


<厚生労働省パブリックコメント> 2002年1月4日まで

有期労働契約・・・・・・ http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/p1206-2.html

裁量労働・・・・・・・・・・ http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/p1206-1.html


創作等8業務
<有期労働契約期間の特例3年の改正>

現    行

諮問内容

一 博士の学位を有する者

変更なし

二 修士の学位を有する者(職務経験3年)

職務経験2年

三 次に掲げるいずれかの資格を有する者

 @公認会計士、A医師、B歯科医師、

 C獣医師、D弁護士、E一級建築士、

 F薬剤師、G不動産鑑定士、H弁理士

 I技術士、J社会保険労務士

税理士、中小企業診断士を追加

四 登録意匠を創作した者又は登録品種を育成した者(職務経験5年)

職務経験必要とせず

五 労働基準局長が認める者

  (職務経験5年)

職務経験必要とせず

規定なし

六 能力試験の合格者

@システムアナリスト試験、プロジェクトマネージャー試験またはアプリケーションエンジニア試験合格者

A潟Aクチュアリーが行う資格試験の合格者

規定なし

七 学歴、実務経験によって高度な専門的知識等を有すると認められる者(但し、大卒+実務経験5年、短大・高専卒+6年、高卒+7年、年収575万円以上)

 @農林水産業・食品技術者

 A機械・電気技術者

 B鉱工業技術者(機械・電気技術者を除く)

 C建築・土木技術者

 Dシステムエンジニア

 Eデザイナー

 Fシステムコンサルタント(SEの実務経験5年)

<専門業務型裁量制の適用対象業務の改正>

現   行

諮問内容

一 新商品・新技術の研究開発

二 情報処理システムの分析・設計

三 新聞・出版・放送番組の取材・編集

四 デザイナー

五 プロデューサー・ディレクター

六 厚生労働大臣の指定する業務

  @コピーライター

  A公認会計士

  B弁護士 

  C一級建築士

  D不動産鑑定士

  E弁理士

 

 

 

 

 

 

 

六 厚生労働大臣の指定する業務に以下を追加

  @一級建築士、二級建築士、木造建築士

  Aインテリアコーディネーター

  B中小企業診断士

  C税理士

  D証券アナリスト

  E金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発

  Fシステムコンサルタント

  Gテレビゲーム用ソフトウェアの創作